XMM-Newton衛星による中性子星の磁場の測定
【2003年6月17日 ESA News】
ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のX線観測衛星XMM-Newtonにより、中性子星の磁場が測定された。直接磁場が測定されたのは初めてということだ。
中性子星は、超新星爆発の後に中心に残される、ひじょうに高密度の天体である。誕生直後はきわめて高温だが、急激に冷えてしまうため、X線のような高エネルギーの電磁波を発しているものは少ない。
今回観測されたのは、X線を発している数少ない中性子星の一つである。X線が中性子星の磁場と作用することによって、スペクトルの中に「サイクロトロン共鳴吸収線」という特徴が見られるようになる。この特徴から、中性子星の磁場を測定したというわけだ。
従来の磁場の測定は、星の崩壊を表す理論モデルに基づいた仮定や中性子星の回転が減速するようすの観測から得られたものであった。今回の直接的な測定の結果は、こうした従来の予測より30倍も弱い磁場の存在を示している。この違いの原因は何なのか、そしてこの現象は今回の中性子星だけに特有のものなのかどうか、XMM-Newtonを使ったさらに多くの中性子星の観測が望まれる。