大マゼラン雲の超新星爆発で誕生した宇宙の花火
【2003年7月7日 HubbleSite - NewsCenter】
南天に見られる銀河、大マゼラン雲で、はるか昔に起こった超新星爆発の残骸が花火のように美しく輝いている画像が公開された。
この画像はNASAのハッブル宇宙望遠鏡が1998年から2000年にかけて撮影した画像を合成して得られたものである。天体はN49あるいはDEM L190という符号がつけられている。色の違いは、超新星爆発によって星から撒き散らされたさまざまな元素に対応しているが、これらの元素は、次世代の星や惑星を作る素材となるものだ。
N49の中心には、他の超新星残骸と同様に中性子星が存在している。この中性子星は8秒周期で自転しているが、より特徴的なのは、ひじょうに強い磁場を持っているという点だろう。その強さは地球の磁場の1000兆倍にも達する。このように強い磁場をもつ天体は、特に「マグネター」と呼ばれている。
また、N49の中性子星は「ソフトガンマ線リピーター」という種類の天体でもある。1979年3月のガンマ線バースト以来、何度かガンマ線が放射されているのが観測されている。さらに、N49の中性子星からはX線も放射されているようだ。N49は見た目が美しい天体であるだけでなく、その中心にある中性子星からさまざまな研究を進められるという実を伴った天体なのである。