日本天文学会要望書「天文学に関する社会教育施設の充実」(NAOニュース)
【2003年8月8日 国立天文台・天文ニュース(661)】
天文台・天文ニュース(619)で「相次ぐプラネタリウムの閉館」を紹介しましたが、8月7日に日本天文学会から「天文学に関する社会教育施設の充実の要望」が出されました。
以下、原文のまま:
要 望 書 −天文学に関する社会教育施設の充実− 平成15年8月7日 社団法人 日本天文学会 理事長 松 田 卓 也 関 係 各 位 日本天文学会は、天文学の進歩と普及を目的として活動しております。普及 活動においては、天文学研究の成果を、市民や青少年にわかりやすく伝え、自 然科学への関心を高め、理科教育や生涯学習に資することを目指しています。 そのため、日本天文学会は、教育フォーラム、公開講演会の開催、講師の派遣、 アマチュア天文家の顕彰、内地留学制度を実行するとともに、科学館等、社会 教育施設と強い連携をとっております。 天文学の目的は、悠久な時間の中で変遷する広大な宇宙と天体の本質を理解 し、人類や生命をとりまく環境について認識を深めることにあります。このよ うな特質から天文学は、青少年の自然科学への情熱を喚起し、市民の生涯学習 ・教育のテーマとして親しみ易く、広く興味を持たれる学問となっています。 市民の生涯学習、学校教育と連携した児童生徒の教育の場としては、科学館、 博物館、プラネタリウム、公共天文台等、社会教育施設(以下、科学館等)が 重要な役割を担っております。科学館等はこれまで幾多の人材を育成し、多く のノウハウを蓄積して、わが国における自然科学の教育面で、大きな財産となっ ています。 しかし昨今、一部の科学館等が休館や縮小、あるいは閉館に追い込まれてい る事態は憂慮に耐えません。このことは、これまで培ってきた人材や組織、ノ ウハウを散逸させ、生涯学習や理科教育の場を奪い、ひいては、科学技術立国 を目指す我が国において、次世代を担う青少年の健全な育成を阻害することに なりかねません。 要 望 このような状況をふまえて、日本天文学会は、国、自治体、関連団体の関係 各位に、次のことを強く要望するものであります。 (1)青少年の自然科学への情熱を高め、また高齢化社会における市民の生涯 学習の場を確保するため、科学館等、社会教育施設を一層充実して頂く こと。 (2)市民と大学・研究機関を結び、上記施設の活動を献身的に担っている、 専門職員の確保と適正な配置、職員の研修制度の充実をはかって頂くこ と。 以上、ご高配のほどお願い申し上げます。