小惑星 糸川
【2003年8月12日 国立天文台・天文ニュース(663)】
5月9日に打ち上げられた宇宙科学研究所(ISAS)の工学実験探査機「はやぶさ=MUSES-C(ミューゼスC)」は、その後順調に目的の小惑星に向かって飛行を続けているようです。
はやぶさが目指す目的の小惑星(25143)1998 SF36に「Itokawa(糸川)」と命名されたことが8月6日に出された小惑星回報MPCで公開されました。
小惑星(25143)Itokawa = 1998 SF36は1998年9月26日にアメリカ・ニューメキシコ州ソコロの望遠鏡を用いて、マサチューセッツ工科大学(MIT)リンカーン研究所・地球軌道接近型小惑星(NEA)研究チーム(通称LINEAR)によって発見された小惑星で、その後の観測により大きさは長さ約600メートル、幅約300メートル、サツマイモのような形をしており、自転周期は約12時間、ほぼ地球軌道と火星軌道の間の楕円軌道を約1年半の周期で回っていることが判っています。
小惑星の命名を推薦する権利は発見者にあるため、ISASではこの小惑星に日本のロケット開発の父である故糸川英夫(いとかわひでお)博士の名前を付けて貰うよう、LINEARチームに依頼し、国際天文学連合からこのほど承認がえられました。
MPCで公開された命名文:
(25143) Itokawa = 1998 SF36 Discovered 1998 Sept. 26 by the Lincoln Laboratory Near- Earth Asteroid Research Team at Socorro. Hideo Itokawa (1912-1999) is regarded as the Father of Japanese rocketry. An aerospace engineer, Itokawa initiated Japan's first launch tests of the solid rocket series called ``Pencil'' in 1955. Under his unique vision and strong leadership, his rockets reached space by 1960 and put Japan's first satellite into orbit in 1970.