宝石箱のように美しい球状星団の中心部

【2003年8月14日 HubbleSite - NewsCenter

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した、球状星団中心部の画像が公開された。宝石箱のように見た目に美しいだけでなく、星や星団の進化のようすを物語る多くの天体も写されている重要な画像だ。

(NGC6397の画像)

球状星団NGC6397。クリックで拡大(提供:NASA and the Hubble Heritage Team (AURA/STScI)、謝辞:A. Cool (SFSU))

この球状星団はNGC6397というカタログ番号の天体で、地球から8,200光年離れたさいだん座にあり、球状星団としてはもっとも近いところに位置する天体の一つだ。ひじょうに恒星の密度が高く、星と星との間はわずか数光週しか離れていない。そのため、星同士の衝突やニアミスがよく起こる(よく起こるとは言っても、数百万年に1度という程度である)。

星同士が衝突すると、「青色はぐれ星(blue straggler)」と呼ばれる高温で明るく輝く若い星が誕生する。また、ニアミスを起こした星はお互いの重力で引き付けあって連星となる。特に普通の恒星と白色矮星が連星となると、激変星というタイプの変光星となって観測されるようになる。

激変星は強い紫外線や青い波長の光を放射するので、この波長で球状星団を観測して激変星を探す研究が行われた。その結果、期待通りにいくつかの激変星が見つかったのだが、同時にまったく明るさの変化しない恒星も3つ見つかった。

この星々は、低質量の白色矮星ではないかと考えられている。普通の白色矮星へと進化する途中の段階で、周囲の星と衝突したり星から影響を受けたりしたため、最後まで進化できなかったのかもしれない。美しく見える球状星団の中心部は、実は星がひしめき合う危険な場所でもあるということである。

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