火星には海はなかったのかもしれない
【2003年8月26日 JPL News】
NASAの火星探査機マーズ・グローバル・サーベイヤーが観測したデータの解析結果から、かつて火星には海はなかったという可能性がでてきた。
マーズ・グローバル・サーベイヤーに搭載された熱放射を測定する装置の観測によると、6年にわたる地表付近の調査からは炭酸塩が検出できず、火星のチリの中に数パーセントだけ見つかったということだ。
かつて火星に海があったとすると、その海に由来する炭酸塩がもっと多く見つかったはずであるが、チリから検出された炭酸塩の量は、海からのものと考えるには少なすぎる。また、海があったとしたら形成されたであろう石灰岩のような炭酸塩の固まりも見つからなかった。
一方で、火星には地表浅いところに氷が存在していることが知られている。以前は、かつて火星は暖かく、氷が溶けて海が存在していたという説もあった。しかし、今回の結果と合わせて考えると、氷は昔からずっと氷のまま現在に至っている可能性が高いということになる。
海はなかったかもしれないが、炭酸塩が検出されたということは、確かに火星には液体の水があったのだろう。より詳しいことは、現在火星を目指している多くの探査機による観測で明らかになってくると思われる。