X線でお月見
【2003年9月18日 Chandra Photo Album】
ちょうど1週間前の11日は中秋の名月だったが、X線でお月見をするとどんな風に見えるだろうか?
写真(右)は、NASAのX線観測衛星チャンドラが撮影した月の画像だ。X線で見ると、まったく月の形には見えないことがわかるだろう。
月そのものはX線を放射していない。観測されているのは、月の表面にある酸素やマグネシウム、アルミニウム、ケイ素といった物質が太陽からのX線を受け、蛍光を発しているようすである。こういった元素の量や分布を観測することで、月の起源に迫ることができる。月に直接行くよりも、ずっと早くお手軽に月のようすを調べることができるというわけだ。これまでのところ、カルシウムはあまり見つかっていないようで、研究グループの一人は「月はチーズでできているわけではないようだ」と冗談めかして発表している。
また、月の暗い側からもX線が観測されている。1990年にドイツのX線衛星ローサットがこの現象を観測して以来、その起源については決定的な説がなかったが、今回のチャンドラの観測によれば、どうやら月からのX線ではなく地球の上層大気に由来するものらしいということである。