超新星を起こす天体の候補リスト作り:備えあれば憂いなし

【2003年10月8日 ESA Photo Release

NASAESA(ヨーロッパ宇宙機関)が運用するハッブル宇宙望遠鏡を用いて、数百個の銀河の高解像度画像が撮影されている。これらの銀河で将来超新星爆発が起こった際にその元となった天体を同定するための、重要な観測だ。

(NGC3982の写真)

渦巻銀河NGC 3982(提供:ESA and Stephen Smartt (University of Cambridge))

超新星爆発は、太陽のおよそ10倍以上の質量を持つ重い星が自分自身の重力によって崩壊し大爆発を起こす現象だ。超新星爆発により、恒星の内部で作られた元素が周囲へと撒き散らされて新しい星や惑星のもとになると考えられており、銀河や恒星の進化を探る上で重要な現象である。

爆発を起こす前の天体がわかれば、どのようなタイプの星からどのようなタイプの超新星爆発が起こるかということがわかり、超新星の研究がさらに進むと考えられるが、残念なことに超新星爆発を起こした元の天体が同定されたのは現在までに数例しかない。典型的な渦巻銀河の場合、100年に1回程度の割合で超新星爆発が起こるとされているが、いつどの銀河で起こるかは正確にはわからないので、元となる天体が同定できないことのほうが多いのだ。

そこで研究者たちは、あらかじめ多くの銀河を多波長で観測し、そこに含まれる恒星の明るさや温度、大きさ、質量などをリストとして記録しているのである。将来、リスト中の星が超新星爆発を起こせば、どのようなタイプの星がどのようなタイプの超新星爆発を起こしたかがわかるというわけだ。この観測には、ハッブル宇宙望遠鏡のほかにESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(The Very Large Telescope)といった地上の大口径望遠鏡も用いられている。

写真は、おおぐま座にあるきれいな形の渦巻銀河NGC 3982だ。我々のいる天の川銀河系も、外側から見るとこのようにきれいな渦巻き型をしていると考えられている。1998年にも超新星が出現したこのNGC 3982、近い将来、再び超新星は現れるだろうか?

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