宇宙進化の種をまき始めたのは、短命で孤独な原始太陽だったらしい

【2004年1月21日 CfA Press Release

ハーバード・スミソニアン天体物理センターは、初期宇宙の太陽は惑星を持たず孤独で、われわれが太陽という言葉から想像するものとは違う姿だったという研究結果を発表した。

(初期宇宙の原始太陽の想像図)

初期宇宙の原始太陽の想像図(提供:David Aguilar, CfA)

(スーパーコンピュータのシミュレーションによる超新星と原始銀河の衝突の画像)

スーパーコンピュータによるシミュレーションで再現された超新星と原始銀河。左:爆発的に重元素を吹き飛ばす超新星、右:初期宇宙で原始銀河集まってできたフィラメント状の構造(提供:左:Volker Bromm (CfA), Naoki Yoshida (National Astronomical Observatory of Japan), Lars Hernquist (CfA), and Christine Lafon (CfA)、右:Christine Lafon (CfA), Volker Springel (Max Planck Institute for Astrophysics), and Lars Hernquist (CfA))

「太陽のような星」と聞くと、すぐに温かく黄色いあのなじみ深い太陽の姿を思い浮かべるだろう。その温かい星が惑星によって取り囲まれ、地球のような生命ある惑星をも生み出してくれるようすをイメージする。しかし、初期宇宙に存在していた星々たちは、決してそうではなかったようだ。

宇宙初期の星々は、白色高温で輝く大質量の天体であった。それらがわずか数百万年という短い間に燃焼をやめ、超新星爆発を起こしていった。これらの超新星爆発が、その後の宇宙進化の種(生命や惑星の材料となる炭素や酸素など)をまき始めたと考えられている。

この発見は、超新星の進化とそれによって生じる重元素の量を調べるというシミュレーションによってもたらされた、いわば副産物的な結果だ。研究者たちは、宇宙最初の第1世代とでもいうべき超新星の爆発によってばらまかれた元素が、われわれのよく知る太陽のような星を作ったのだろうと結論づけている。

では、宇宙で初めて作られた太陽と第2世代の太陽とは何が違うのだろうか。星が作られる際の冷え方の違いが大きな違いだとされているが、重元素の発生についてはまだ疑問が多い。、たとえば、それらの元素がどう変化し生命体を生むようなっていったかなどは、まだわかっていない。

いずれにせよ、シミュレーションの結果によれば、ビッグバン後すぐに生まれた宇宙最初の星々が超新星爆発を起こし、われわれの知るあの太陽と同じ第2世代の太陽が生まれたということだ。この長い宇宙の歴史の中で、太陽がなければ地球上に生命の存在はなかったわけであるが、その存在の起源は、太陽よりはるか昔に生まれた星の誕生とその死に直結しているのである。