天体物理の新しい扉を開く大発見、パルサー同士の連星
【2004年1月22日 RAS Press Releases】
オーストラリアのパークス電波望遠鏡(直径64m)によって、パルサー同士の連星が初めて発見された。
発表によると、23ミリ秒周期のパルサーPSR J0737-3039Aの周囲を2.4時間で巡っている天体は、従来考えられていたような単なる中性子星ではなく、それ自身も2.8秒周期のパルサーPSR J0737-3039Bだということだ。パルサー同士の連星が発見されたのは初めてである。この特殊な連星によって、アインシュタインの一般相対性理論の検証に関わる精密なテストができるだけでなく、パルサーの磁気圏という、今まで知り得なかったパルサーの外側について情報も得られそうだ。
パルサーAは、重力放射によりエネルギーを急速に失いつつある。8700万年後には、重力波を放射しながら連星同士が合体し、最後にはブラックホールへと変わる。重力波の存在はアインシュタインが予言したものだが、現在のところ直接的にはまだ観測されていない。世界各地で重力波を検出する設備の建設が進められており、検出に期待が寄せられている。今回の発見によって、予測されていたより頻繁にこのような合体が起きていることもわかった。重力波を探し続ける研究者にとっては、心強い希望あふれるニュースだろう。
なお、パークス望遠鏡によるパルサーの発見は、過去5年間で700個以上を数える。今回発見されたパルサー連星は、これまでの栄誉の中でももっとも大きなものと言えるだろう。