火星有人探査の新たな課題は、高圧磁場を持つ火星の砂竜巻か

【2004年4月23日 Goddard Space Flight Center

NASAを含めた研究チームが地球上の竜巻について調べ、火星上で同様に発生する砂竜巻が高圧の磁場を持っているかもしれない可能性を発見した。これは、2009年に予定されている有人火星探査の計画にも影響を与えることになりそうだ。

(電気を帯びた火星の砂竜巻の想像図)

電気を帯びた火星の砂竜巻の想像図(提供:University of Michigan)

(竜巻の磁場と電場の計測のようす)

地球での竜巻の磁場と電場の計測のようす(提供:NASA/JPL/Malin Space Science Systems)

同研究チームが発見した地球上での竜巻は、予想外に大きな電場を持ち、同時に磁場も生じさせていたことがわかった。この竜巻のパワーは、1平方メートルあたり4千ワット以上にもなるという。この砂竜巻は、幅10メートルから100メートル、風速およそ30〜100km/hの風が熱い空気の柱を中心にして渦巻いていたという。

火星上では、このような砂のモンスターともいうべき現象はめずらしくない。実際、季節によって変化しながら、あちこちにその足跡を残しているのだ。火星の砂竜巻は巨大で、直径が500m以上。高さとなると、数千メートルにも及んでいる。専門家は、砂竜巻が火星での砂の移動に大きく関係しているのではないか、また、侵食にも役割を果たしているのではないかと考えている。

現在火星を探査中の2台のローバーを含め、今までの火星探査機はこのような砂竜巻には遭遇していない。しかし、2009年予定の有人探査に使われる精密機器、ロボット、さらに宇宙飛行士の体を包むスーツなどについては、この砂竜巻の影響を考慮することも重要だろう。なお今後、同研究チームは、地球での巨大な砂嵐の計測を希望している。

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