明るくなるか、マックホルツ彗星
【2004年9月9日 国立天文台 アストロ・トピックス(46)】
今年の春にはいくつかの肉眼彗星が出現し、天文ファンの目を楽しませてくれましたが、今年の年末から来年にかけて明るくなりそうな期待を抱かせる彗星が新たに発見されました。アメリカ・カリフォルニア州に住むコメットハンター、マックホルツ氏(Machholz, D.E.)が、2004年8月27日12時過ぎ(世界時)に、15cm望遠鏡での捜索中、エリダヌス座の中に11等級の明るさで発見した新彗星です。ちなみに、マックホルツ氏の彗星発見数は10個となりました。
その後、世界各地での追跡観測がおこなわれ、「C/2004 Q2 (Machholz)」と命名されました。そして、8月30日までの38個の位置観測から、次のような暫定軌道が計算されています(後述のアストロアーツによる注を参照)。
この軌道から、今後の位置や明るさを予想すると、この彗星が標準的な明るさの変化をした場合、2004年末から2005年始頃にかけて4等級まで明るくなり、肉眼でも見える可能性があります。また、冬の星座おうし座付近を北上するという日本でも大変に観察しやすいコースを通ります。
ただ、彗星の明るさの予想は大変に難しく、どこまで明るくなるかはもうしばらく観測を続ける必要があります。また、今年5月に明るくなったニート彗星が最大3等級になりましたが、4等級ということになると街中で観察するのは難しいでしょう。
天文ファンにとっては、これから楽しみな彗星であることは間違いないでしょう。
※この情報は鳥取県さじアストロパークの織部隆明(おりべたかあき)さんより、いただきました。
<アストロアーツによる注>
村岡健治氏の計算による暫定軌道要素は以下のとおり(9月1日までの49観測、角度に関する要素は2000.0年分点)。
近日点通過時刻(TT) | 2005年1月24.1301日 |
---|---|
近日点距離(q) | 1.182769AU |
離心率(e) | 1.0 |
近日点引数(ω) | 20.8256度 |
昇交点黄経(Ω) | 92.9471度 |
軌道傾斜角(i) | 38.6780度 |