銀河系中心の生命体の命と進化に道はない、スターバーストのシナリオ

【2004年10月13日 CfA Press Release

銀河系の中心付近は、地球のような星に住む生命体にとっては、完全にその命や進化への道が閉ざされた領域のようだ。それは、平均で約2000万年に1度の割合で起こる爆発的な星形成と大きく関係している。研究結果を発表したハーバード・スミソニアン天体物理センターの研究チームによれば、スターバーストで大量の星々が誕生し大質量の星が超新星爆発を起こすことによって、銀河系中心では生命体の存続は完全に不可能となってしまうというのだ。

(超新星爆発のために生命存続の危機にさらされる惑星の想像図)

超新星爆発の影響を受けて生命存続の危機にさらされる惑星の想像図(提供:David A. Aguilar, CfA)

銀河系(われわれの天の川銀河)には、中心から約5百光年の位置にリング構造が存在しており、爆発的な星形成(スターバースト)のガスはここからもたらされる。また、6千光年にわたって広がる棒状構造も存在している。棒状構造との相互作用によってリングの密度が上昇し、臨界密度に達すると、リングが崩壊してガスが銀河の中心に落ち込み、大規模な星形成へとつながっていく。

このようにして大量の新しい星が形成されるが、その中でも大質量の星はあっという間に燃え尽きてしまい、誕生から数百万年のうちに超新星爆発を起こす。また、スターバーストの結果、銀河系の中心には新しい星々がすし詰め状態で存在するようになり、中心部は大々的な衝撃を受ける。こういった現象のために、もし銀河系の中心付近に地球の生命体のようなものが存在していたとしても、すべて命を奪われてしまうのだ。

スターバーストは、銀河同士が衝突している現場に見られるものがよく知られている。銀河の衝突で、大量のガスがぶつかり合って星が生まれているのだ。しかし、銀河系のように単独の孤立した銀河でもスターバーストは起こり得る。研究者の発表によれば、銀河系内でも1000万年以内には次のスタ−バーストが起こると考えられているが、安心してほしい。幸いにして、中心から2万5000光年離れた距離にある地球にその影響が及ぶことはない。