12月13日には、ふたご座流星群を眺めよう

【2004年12月7日 国立天文台 アストロ・トピックス (67)

毎年12月13日ごろを中心にして前後数日の間、「ふたご座流星群」が活発に活動します。今年のふたご座流星群の観察は数年に一度の絶好の条件となりますので、多くの流星が眺められると期待されています。

流星群とは、彗星から放出された直径1ミリメートルから数センチメートル程度の麈(ちり)粒の集団が、地球に飛び込んで起こる現象です。この塵粒の集団は、彗星の軌道上に密集していますが、この軌道と地球軌道が交差しているところで、流星群が発生します。地球が交差する日時は、ほぼ毎年決まっていますので、特定の時期に流星群が出現するわけです。このとき、地球に飛び込んでくる塵粒は決まった方向からやってきます。それぞれの塵粒はほぼ平行なので、地上から見ると、それらの流星群に属する流星は、天空のある一点から放射状に飛び散るように見えます。この点を放射点と呼び、ふたご座流星群は放射点がふたご座にあるわけです。

ふたご座流星群の場合、放射点は夕方に東の方角にあり、真夜中にほぼ天頂を通って、明け方には西の地平線に傾いていきます。放射点が一晩中夜空にあるため、ふたご座流星群は、ほぼ一晩見ることができるのです。ただ、放射点のある方向だけに流星が出現するわけではなく、流星は夜空のどこにでも現れます。放射点近くに出現する流星は、こちらに向かって飛んでいるために短い軌跡の流星が多くなります。放射点から離れた方向では、流星を横から見ることになるために、かえって長い軌跡の流星が多く観察されます。

ふたご座流星群は、流星を初めて眺めようという人にもお勧めの流星群です。その理由の一つは、流星数が多いことです。毎年、ほぼ決まってたくさんの流星が眺められる三大流星群の一つで、光害のない夜空で晴天に恵まれれば1時間に50個を越える流星が眺められるのです。二つ目の理由は、夜半前にも流星が出現することです。三大流星群のうち、夏のペルセウス座流星群や1月上旬のりゅう座ι(イオタ)流星群(別名、四分儀(しぶんぎ)座流星群)は、どちらも深夜から明け方にかけてが中心となります。夜半前から出現するふたご座流星群はこどもにとっても観察しやすい流星群といえるでしょう。また、流星群の観察には望遠鏡などの特別な道具は必要ありません。できるだけ条件の良い場所で、長い時間空を見ていれば、それだけ多くの流星を目にすることができるはずです。

さらに、たくさんの流星を観察できるかどうかに大きく影響するのが、月明かりです。明るい月があると、暗い流星が見えなくなり、観察できる流星数は減ってしまいます。同じ時期であっても月の状態は年によって違いますが、今年のふたご座流星群の時期には、日の入り後に西の空に細い月が輝いているだけで、すぐに沈んでしまい、それからは月のない星空が朝まで続きますので、数年に一度の好条件なのです。

そこで、国立天文台では、できるだけ多くの人に流れ星を眺めてもらおうと、流星数がもっとも多くなると思われる13日の夜に「ふたご座流星群を眺めよう」というキャンペーンを行うことにしました。夜の8時〜10時の間に、15分ほど夜空を観察してもらい、その間に何個の流れ星を見ることができたかを国立天文台のインターネット上のキャンペーンサイトに報告してもらおうというものです。日本全国のどのあたりでどのくらいで流星が見えたかが、集計からわかる仕組みです。携帯電話からも参加可能ですから、これまで流星を眺めたことのない多くの人にも、ぜひ参加していただければと思います。

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