溶けた岩石はどこにいった?アリゾナのクレーターに新たな説

【2005年3月23日 UA News

アメリカ・アリゾナ州北部のアリゾナ大隕石孔には、なぜ溶けた岩石が少ないのだろうか。この謎に対する、新たな説が発表された。

(2005年撮影のアリゾナ大隕石孔の写真) (アリゾナ大隕石孔の1929年当時の写真)

(上)アリゾナ大隕石孔の写真。2005年撮影、(下)1929年当時の写真(提供:(上)Peter L. Kresan, copyright 2005、(下)From the Smithsonian Scientific Series (1929), taken by the U.S. Army Air Service)

約5万年前にできたとされるアリゾナ大隕石孔(バリンジャー隕石孔)は、隕石の衝突の跡であることが初めて認められたクレーターで、もっとも研究が進んでいるクレーターといえる。しかし、今回の研究結果は、今までのクレーター形成説と大きく異なる内容となっている。

従来の説では、隕石は地球表面に秒速15km〜20kmで衝突したとされていた。しかし、今回発表された説によれば、もともと30万トンあった隕石の半分相当のサイズ(直径40mほど)の部分は地上に激突する前に粉々となり、残りの半分だけが秒速12km程度で地上にぶつかるというのだ。これは岩石を溶かすには遅すぎる速度で、そのため溶けた岩石が少ないのである。

この説を発表した研究者は、小惑星や彗星の衝突による影響を示す一般向けオンライン・プログラムも開発している。これにより、小惑星や彗星の衝突による地球の具体的な地点への影響を知ることができる。