初期宇宙の銀河は、バラエティーに富んでいた
【2005年3月28日 Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics(CFA)、Press Release】
初期宇宙の銀河の進化過程は、決して同じように進んだわけではなくバラエティーに富んでいることが、最近の観測で明らかにされた。当時の宇宙には、塵の多いものや少ないもの、若いものや年老いたものなど、大小さまざまな銀河があふれていたようだ。
宇宙がたった20億歳から30億歳のころ、果たしてこの宇宙はどのような様相を呈していたのだろう。専門家はこれまで、単純に星を形成する若い小規模の銀河が広がる宇宙を想像してきた。しかし、NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡に搭載された赤外線カメラによって100億から120億光年先にある銀河を観測したところ、実際の初期宇宙は、広範囲に渡って複雑な姿をしていたらしいことが明らかになったのだ。全く予想していなかった発見に専門家は、まるで巨大な動物園を見るようだと形容している。
スピッツァー宇宙望遠鏡が観測したのは、ハッブル宇宙望遠鏡が1998年に観測した「ハッブル・ディープ・フィールド南天領域」と呼ばれる南天の一角だ。観測された銀河は、若くて塵の多いものや塵を持たないもの、年老いていながらちりを多く持つものや塵のないものなど、実に多様である。
特に、すでに多くの星を生み出してしまい、その後の星形成が終わってしまっているような赤い銀河がこのような初期宇宙で発見されたことに専門家は驚いている。初期宇宙において、まもなく死を迎える銀河の存在は、銀河形成を研究する専門家に新たな挑戦を投げかけることになりそうだ。