西村栄男さん、櫻井幸夫さん、いて座に新星を発見
【2005年3月30日 VSOLJニュース(139) / 国立天文台 アストロ・トピックス(90)】
(VSOLJニュース)
日本天文学会では、新星・超新星・彗星といった天体を発見された方を表彰しており、昨29日には2004年度の表彰式がありました。昨年新星を発見された、静岡県掛川市の西村栄男(にしむらひでお)さん、茨城県水戸市の櫻井幸夫(さくらいゆきお)さんも、表彰式に出席され、賞を受けられました。このお二方は、表彰式の日の未明に、それぞれ新星を独立に発見され、報告されてから会場にいらっしゃっていたのです。その不断の努力には脱帽するのみです。
西村さんは、28.779日(世界時、以下同様)に撮影した写真から、また櫻井さんは28.796日に撮影したデジカメ画像から、新しい星を見いだしました。櫻井さん撮影の画像から、兵庫県洲本市の中野主一(なかのしゅいち)さんが測定された位置は以下のとおりです。いて座が持つ弓の中にあたります。
赤経 18時16分59.04秒 赤緯 -25度56分38.8秒 (2000年分点) 新星周辺の星図
新星は、西村さんの写真では8.7等で、櫻井さんの画像では9.1等で見えていました。明るさの違いは機材の差による部分が大きく、この間に増光しているのか減光しているのかはわかりません。櫻井さんが25日に撮影した画像では11.8等より明るい天体はこの位置になく、またチリで南天をモニターしているASAS-3システムでは、27.464日撮影の画像にも14等より明るい天体は写っていません。この2日に、たいへん急激な増光を示したことになります。
岡山県井原市の美星天文台では、29.8日にスペクトルを撮影し、この天体が典型的な新星であることがわかりました。今後のこの新星の動向が注目されます。
(国立天文台 アストロ・トピックス)
静岡県掛川市の西村栄男(にしむらひでお)さん、茨城県水戸市の櫻井幸夫(さくらいゆきお)さんが、いて座に新星を見つけました。
西村さんは、3月28.779日(世界時、以下同様)に撮影した写真から、また櫻井さんは3月28.796日に撮影したデジタルカメラの画像から、新星を発見しました。洲本市の中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて、国際天文学連合へ報告され、2005年 いて座新星(Nova Sgr 2005)と命名されました。
櫻井さん撮影の画像から、中野さんが測定した位置は以下のとおりで、いて座の弓の中にあたります(VSOLJニュースと同じなので省略)。
新星は、西村さんの写真では8.7等級の明るさで、櫻井さんの画像では9.1等級の明るさで写っていました。明るさが違うのは機材の差によるもので、増光または減光しているのか判りません。櫻井さんが25日に撮影した画像では11.8等級より明るい天体はこの位置になく、またチリで南天をモニターしているASAS-3システムでは、27.464日撮影の画像にも14等級より明るい天体は写っていませんでした。この2日に、たいへん急激な増光を示したことになります。
岡山県井原市の美星天文台では、29.8日にスペクトルを撮影し、この天体が典型的な新星であることがわかりました。今後のこの新星の動向が注目されます。
西村さんは新天体発見のベテランで、今年2月に はくちょう座に「2004年 はくちょう座新星(V2361 Cyg = Nova Cyg 2005)」(国立天文台 アストロトピックス 83)を発見したばかりです。2004年3月の「2004年いて座新星」(国立天文台 天文ニュース 705)、2003年8月にたて座に「新星状天体(同 668)」を発見しています。1994年7月の中村・西村・マックホルツ彗星(C/1994 N1)の発見者でもあります。
櫻井さんも新天体発見のベテランで、2004年11月に とも座に「2004年とも座新星(V574 Pup = Nova Pup 2004)」を発見されたばかりで、新星類似天体を含めての発見数は、8つ目となります。