土星の衛星フェーベは、冥王星の親戚だった
【2005年5月17日 JPL Solar System News Releases】
2004年に土星探査機カッシーニが撮影した衛星・フェーベの画像から、その組成が冥王星やカイパーベルト天体と似ていることが明らかになった。どうやらフェーベは、土星の近くでできたのではなく、太陽系の外縁部で生まれ、土星の重力に捉えられて現在のような安定した軌道をもつようになったようだ。
カッシーニが土星の衛星・フェーベの近くを通ったのは、2004年6月11日。当時まだ情報の少なかったフェーベの詳細な画像の撮影が初めて行われ、その質量や組成についての情報がもたらされた。フェーベに数多くあるクレーターのうち、衝突してからあまり時間が経ってないものは色が明るい。よって内部は氷で、表面に黒い物質からなる薄い層をもっていると推測される。画像から明らかになった体積を元に計算すると、フェーベの密度は1平方センチあたり約1.6グラムであり、岩石より軽く、純粋な氷よりは重いことがわかっている。このことから、氷と岩石の組成が冥王星や海王星の衛星トリトンと類似していることが示されている。
専門家たちは、フェーベは太陽系の外縁部からやってきた天体であると結論づけた。冥王星やカイパーベルト天体と同種のものだというのだ。実際、他の土星の氷の衛星とは、氷と岩石の比率の点で、明らかに異なっていた。NASAの研究チームによれば、フェーベは、太陽系の惑星の材料となったガスやちりの雲から取り残された天体であり、それが土星の重力に引き寄せられたのだという。