中国2度目の有人宇宙船「神舟6号」の打ち上げ成功
【2005年10月14日 Space Flight Now】
中国が2度目の有人宇宙船「神舟(シェン・チョウ)6号」の打ち上げを成功させた。すでに2003年に神舟5号の打ち上げで、ロシア(旧ソ連)、アメリカに次いで有人宇宙飛行を成功させた国の仲間入りを果たしている中国だが、今回の成功によりさらに上の次元の宇宙開発に向けての道が開かれたといえる。
「神舟6号」は、10月12日日本時間10時、酒泉衛星発射センターから長征2Fロケットにより打ち上げられた。打ち上げから1分とたたないうちに、上昇するロケットの姿は雲に隠れたが、センターへと送られてくるデータはすべてが順調であることを示していた。そして約10分後に、ロケットから切り離された「神舟6号」は無事軌道に投入された。
乗組員は、元空軍パイロットの聶海勝氏(41)と費俊竜氏(40)。「神舟6号」への搭乗を目指し数年間の訓練を受けてきたのは計14人、うち最終選考に残されたのは6人、さらにその中から聶氏と費氏が選ばれたというわけだ。国営新華社通信によると、この2名は、「神舟5号」の最終選考メンバーでもあった。今後両氏は、軌道モジュールへ移動し、各種の科学実験を行う。同通信によると、温首相は2人を激励し、「絶え間なく新しい科学分野の頂点を目指す、中国人民の志と自信と能力を再び世界に示してほしい」と述べたという。
今回の6号が5号と大きく異なる点は、いくつかある。一つは、前回とは違って政府が積極的に情報を公開していることだ。6号の打ち上げは、インターネットやテレビを通じて世界中に中継された。また、宇宙での飛行時間も119時間と、21時間だった5号の約5倍だ。神舟5号の楊利偉宇宙飛行士は打ち上げから帰還まで、同じ席に座り続けなければならなかったが、聶氏と費氏は軌道モジュールの中でより快適な宇宙生活を送れるという。宇宙食、寝袋、トイレといった設備が充実しているようだ。5日間の宇宙滞在の後、二人を乗せた帰還モジュールは17日朝に、パラシュートを使って内モンゴル自治区内に着陸する予定になっている。
大きな前進を果たした中国の宇宙開発の次なるステップは、来年の「神舟7号」の乗組員による中国初の宇宙遊泳だ。続く2008年の「神舟8号」では、「神舟7号」が軌道上に残す予定の軌道モジュールとの再ドッキングも行われるという。そして今後十数年の長期的計画には、宇宙ステーションへのクルーの滞在など大がかりなものもいくつかあるようだ。
神舟: 中国の有人宇宙船。2003年10月、初の有人宇宙飛行に成功。軌道上で実験などを行う「軌道モジュール」、宇宙飛行士が乗り込む「帰還モジュール」、エンジンを搭載した「推進モジュール」からなる。地球に帰還するのは帰還モジュールのみで、軌道モジュールは分離後半年ほど軌道に残り、実験を継続できる。(「宇宙年鑑2005」(宇宙開発・科学探査の最新情報、成果、将来計画を網羅)より)