ポイマンスキー彗星が予想以上に増光

【2006年2月26日 アストロアーツ】

5月にシュワスマン・ワハマン彗星(73P)が明るく見えると期待されているが、その露払いとも言うべき彗星が、突如やってきた。今年1月に発見された「ポイマンスキー彗星(C/2006A1)」だ。発見以来予想を超えるペースで急激に増光しており、3月上旬には5等から6等級になる見込みだ。


(2月26日から3月10日にかけての星空におけるポイマンスキー彗星の移動経路)

ポイマンスキー彗星の移動経路。背景の星空は、3月1日5時(東京)。金星やアルタイルから星をたどって彗星を探し出すことができる。
この星図は星ナビ3月号に掲載されたものです。

(3月5日から25日にかけての星空におけるポイマンスキー彗星の移動経路)

ポイマンスキー彗星の移動経路。背景の星空は、3月10日4時(東京)。3月10日前後は小型の双眼鏡で、いるか座から辿ることができる。
この星図は3月4日発売の星ナビ4月号に、解説とともに掲載されます。

ポイマンスキー彗星は、全天自動サーベイASASにおいて1月1日と1月4日に撮影された画像の中から、ワルシャワ大学天文台のポイマンスキー(Grzegorz Pojmanski)氏が発見した、今年最初の新彗星である。発見当時の光度は12等級で、南天の空にあった。彗星は2月22日に近日点を通過。その後北上して、日本でも明け方の東の空低くに見えるようになってくる。当初の予想では3月に7等級まで明るくなると思われていた。

ところが実際の観測では、1月上旬に10等級、中旬に9等級から8等級、下旬には8等級から7等級となり、予想を上回るペースで増光している。2月に入って、6等級という観測報告も出ている。この調子で行けば、もっとも明るい3月上旬には、5等級にまでなるかもしれない。


ポイマンスキー彗星の画像

2006年2月25日05時03分〜05時15分 計5.5分(6枚)露光 茨城県美浦村にて ボーグ 125EDF4(fl=500mm) ニコンD70(IR改、ISO1600) LPS-P1使用 撮影/久保庭 敦男
彗星位置基準で合成(上が天の北)、画像下側は上側を白黒反転 ずっと晴れない日々でしたが、この日この時間帯だけ絹雲から星が透けて見えるまで回復したので狙ってみました。(恒星のずれ方が平行になってないのは、低空での見かけ位置の浮き上がりによるものと思われます。)

すでに日本からも、ポイマンスキー彗星は明け方に東の低空で見え始めている。最大光度を迎えると予想される3月上旬の地平線からの高度は、薄明開始30分前で10度前後、薄明開始時には15度ほどになる。この頃は月明かりに邪魔されることもなく、絶好の観測条件だ。ぜひとも早起きして双眼鏡や望遠鏡で探してみたい。

なお、ポイマンスキー彗星は3月中旬を過ぎると急激に減光してしまうので、お見逃しなく。


ポイマンスキー彗星の位置は、天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ Ver.7」で確認できます。ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。

ポイマンスキー彗星に関する詳しい情報は、現在発売中の星ナビ3月号、および3月4日発売の星ナビ4月号を参照してください。