ステラハンター・プロフェッショナルを利用し、微光小惑星を発見

【2006年6月9日 アストロアーツ】

小口径望遠鏡で撮影した画像をソフトウェアで処理することで、機材が持つ能力を超えた微光小惑星が見つかった。アマチュアには手が届かなかった20等級の壁が「ステラハンター・プロフェッショナル」で越えられる。


「ステラハンター・プロフェッショナル」は移動天体の探索や追跡、そして報告までサポートする統合環境で、連続撮影した画像から微光天体を自動検出することができる。微光小惑星の発見は、固有符号(発見報告時の略号)「NF」で称される中西昭雄氏(N)と二葉文彦氏(F)のチームによるもの。中西氏が撮影した画像を、二葉氏が処理を行って、未知の小惑星検出にチャレンジしている。

観測場所は長野県・入笠山で、以前からアマチュアやJAXA(宇宙航空研究開発機構)の総研本部宇宙先進技術研究グループ・スペースデブリセクションによって小惑星発見が行われている。観測には、高橋製作所製の口径25cm反射望遠鏡(BRC-250)とナカニシイメージラボ製の冷却CCDカメラ(CCD47-10bi)が用いられた。アマチュアが入手できる機材であるが、暗い空で撮影した多数の画像を「ステラハンター・プロフェッショナル」で処理することによって、驚くべき性能を発揮し、検出された小惑星は21等級に達している。

中西氏と二葉氏が発見し、仮符号を取得した小惑星
固有符号 仮符号 発見年月日(UT) 発見光度
NF001 2006 FY37 2006年3月30日 20.6V
NF003 2006 HB52 2006年4月24日 21.1V
NF004 2006 HC52 2006年4月24日 21.3V

(東亜天文学会計算課より)

世界の大規模サーベイの活動で明るい小惑星が一網打尽になり、アマチュアによる小惑星発見は困難と考えられていたが、機材とソフトウェアの組み合わせによる大口径に匹敵する性能が、新たなアマチュアの活躍の場を生み出したといえる。さらに暗い小惑星やEKBOの発見など、今後の成果に期待したい。