160年ぶりの記録更新なるか?ミラ型変光星はくちょう座χが3等台に

【2006年7月31日 アストロアーツ】

はくちょう座χは400日周期のひじょうに幅広い変光で知られる星ですが、極大のころでも双眼鏡を使わないとわかりにくい存在でした。しかし、今回は違います!8月上旬の極大を前にすでに3等台に到達し、このままいけば観測史上最大の明るさとなりそうです。この夏は、はくちょうの首筋にも注目してみましょう。


(はくちょう座χ周辺の星図)

はくちょう座χ周辺の星図。ステラナビゲータVer.7で作成。クリックで拡大

(はくちょう座χの光度曲線)

はくちょう座χの光度曲線。クリックで拡大(提供:高橋進氏(ダイニックアストロパーク天究館))

はくちょう座χ(χ Cyg)と言えば夏のミラ型変光星の代表です。変光星カタログによると変光周期は408日で範囲は3.3等〜14.2等と10等級以上。これは数あるミラ型変光星の中でも最大規模の変光幅です。しかし極大光度の3.3等というのは1847年に一度記録されただけで、平均的な極大は4.2等〜5.1等程度です。

そのはくちょう座χが今3等台に増光し話題を集めています。日本変光星観測者連盟(VSOLJ)メーリングリストに報告されているデータでは7月28日でおよそ3.7等で、1969年以来の明るさです。VSOLJによる今年の極大予報は8月9日。これからさらに増光することが予想され、ひょっとすると過去最大だった1847年の記録を更新する可能性もあります。

夏休みに入り、はくちょう座は見やすい位置にいます。はくちょう座χは首の真ん中に位置しますから、この星が明るい極大になるとはくちょうの首が曲がったようになります。3等台ですから街灯などの影響のない所からだと肉眼でも見る事ができるでしょう。また、都市部でも双眼鏡を使うと簡単に観察できます。さらに、写真などで撮るとその面白さはまた格別です。

星図は日本変光星研究会ホームページの「変光星図」にもあります。また、光度目測は天文学的にも貴重なデータとなるので以下で報告を募っています。

VSOLJ観測データ担当 広沢憲治氏 (E-mail: NCB00451@nifty.ne.jp

(※本ニュースは、日本変光星研究会の前田豊氏およびダイニックアストロパーク天究館の高橋進氏よりいただいたコメントを元に作成しました。)

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