矮惑星2003 UB313の矮惑星の名前は「エリス」、衛星は「ディスノミア」に
【2006年9月15日 IAU News】
太陽系10番惑星かと注目され、その後、矮惑星に分類された「2003 UB313」とその衛星に正式な名前が与えられた。発表された名前は、それぞれ「エリス」と「ディスノミア」。名前の由来は、ギリシャ神話に出てくる不和と争い、混沌の女神だ。
9月13日、国際天文学連合(IAU)の下部組織である惑星システム命名ワーキンググループ(WGPSN)と小天体命名委員会(CSBN)において、矮惑星(dwarf planet)「(136199) 2003 UB313」とその衛星の名前がほぼ満場一致で決定された。2003 UB313は「Eris(エリス)」、衛星は「Dysnomia(ディスノミア)」である。
エリス(元・2003 UB313)は、2003年10月に米カリフォルニア工科大のマイケル・ブラウン教授をはじめとした、ケック天文台、エール大学、ジェミニ天文台の研究者たちからなる研究チームによって発見された天体だ。太陽系第10惑星ではないかと注目を浴び、非公式ながらXenaという名前で呼ばれた。さらに、2005年9月にはその衛星が発見されていた。
エリスという名前は、発見者である研究チームから提案されたものである。エリスは、男性に嫉妬やねたみの心をかき立たせ、争いを引き起こす、ギリシャ神話の不和と争いの女神だ。エリスは、ペレウスとテティスの結婚式に唯一自分だけが招かれなかったことに猛烈に腹を立て神々の間に争いを起こすが、やがてそれがトロイ戦争へと発展していったという。
また、研究チームを代表してブラウン教授から提案された衛星ディスノミアは、エリスの娘の名前で、こちらも混沌と争いの女神だ。エリス、ディスノミア共に、決して穏やかな名前ではないが、惑星定義の火付け役、論争の元となった天体とその衛星にふさわしい名前がつけられたといえるかもしれない。