料理も国際的に 国際宇宙ステーションの食事情
【2006年12月21日 JAXAプレスリリース / ESA News】
念願の宇宙旅行、食事はあえていつもどおりにしようか、それとも奮発してフルコースにしようか―将来、そんなことを考える日が来るかもしれない。これまで国際宇宙ステーション(ISS)の食事は米露が提供したものに限られていたが、現在の制度では参加各国が用意できる。日欧それぞれの取り組みを追った。
地上の食生活への応用も視野に 宇宙日本食
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は平成19年度(予定)から実験棟「きぼう」の組み立てミッションを開始し、本格的にISSへかかわることになる。同時に「宇宙日本食」の供給も始めることを目指し、認証基準を整備していた。
「宇宙日本食」の内容は日本の一般家庭で食卓に並ぶような食事を想定しているが、伝統的な「和食」には限定しない。また、日本人宇宙飛行士だけでなく他国のパートナーにも供給されるという。
基準はNASAが定めた衛生面の要求、包装の耐久性への要求などからなる。国内で製造された食品がこの基準を満たせば、「宇宙日本食」としてISSに搭乗する宇宙飛行士のメニューに加えられる。受付は12月5日から始まった。
「宇宙日本食」は宇宙飛行士を支えるだけでなく、開発を通じて地上の保存食や栄養食品などへの応用も実現することが期待されている。
JAXAは基準を整備するに当たって国内の代表的な食品製造企業等の協力を得た。その過程で、35品目におよぶ試作品や独自のパッケージも作られた。以下がその内容だ。
究極の宇宙食? 高級シェフとのコラボレーション
ヨーロッパ宇宙機関(ESA)とフランス国立宇宙研究センター(CNES)は、世界各地でレストランを展開する「グループ・アラン・デュカス」の協力を得てISS乗組員のためにグルメ料理を開発した。
グループ・アラン・デュカスはフランスの有名な料理人であるアラン・デュカス氏が率いるシェフ・グループで、世界中で三つ星レストランや高級ホテルを経営しているが、ついに宇宙にまで進出することになった。料理はグループ・アラン・デュカスの施設で作られ、缶に詰めて宇宙へ届けられた。ISSのオーブンで缶を温めればごちそうのできあがりだ。
もちろん、乗組員は毎日贅沢をするわけではない。この料理は船外活動の後や乗組員の誕生日、歓送迎などの特別な機会にのみ振る舞われる予定である。
11月、ESAのThomas Reiter宇宙飛行士たちがISSの乗組員として初めて新しい宇宙食を口にした。Reiter宇宙飛行士はISSに5か月近く滞在した後だった。そのメニューは、次のとおりだ。
Reiter飛行士たちは大満足だったようだ。ただ1点を除けば。
「乗組員はみんなこの食事に喜んでいたよ。ワインといっしょに食べれば、もっとおいしいはずだけどね!」