チェコがヨーロッパ南天天文台(ESO)に加盟

【2006年12月25日 ESO Release

2007年1月1日から、チェコ共和国がヨーロッパ南天天文台(ESO)に加盟することが決定した。ESOへの加盟は13番目で、中東欧の国家としては初めて。


加盟式典はチェコの教育省で行われ、チェコ教育相のMiroslava Kopicová氏とESO長官のCatherine Cesarsky氏が議定書に調印した。チェコ議会によって批准されれば、チェコはESO13番目の加盟国となる。ほかの国はベルギー、デンマーク、フランス、フィンランド、ドイツ、イタリア、オランダ、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス。中東欧からは初めての加盟だ。

ESOは欧州各国が天文学の研究および教育で協力するために、1962年に発足した組織。「eso」はチェコ語で「エース」を意味する。その響きに負けず、ESOはヨーロッパの天文学者に最先端の設備を提供して大いに活躍してきた。観測施設そのものは南半球チリのアタカマ砂漠に3か所存在する。とりわけ、大型望遠鏡VLTが有名。また、2017年の完成を目指して口径42メートルの超大型望遠鏡も計画中だ。

チェコの天文学には紀元前3500年ごろまでもさかのぼると言われる長い伝統がある。とりわけ、4世紀前に皇帝付の天文学者となったティコ・ブラーエと助手のケプラーは、近代天文学の幕開けをもたらした。彼らが活躍した首都プラハでは、国際天文学連合の総会が1967年と2006年に行われている。後者は、「惑星の定義」をめぐる議論と採決があったことで記憶に新しい。

現在、チェコで天文学にかかわっているのは科学アカデミーの天文学会といくつかの大学である。オンドレヨフ(Ondrejov)天文台には2メートル可視光望遠鏡と10メートル電波望遠鏡がある。また、チェコの天文学者は各分野で活躍しており、ESOへの加盟が双方にとって大きな利益となることが期待されている。