国立天文台と天プラなど、ポスター「一家に1枚 宇宙図 2007」を製作
【2007年3月30日 文部科学省】
国立天文台と「天文学とプラネタリウム」(天プラ)を中心としたグループは、宇宙の歴史と構造が詰まったポスター「一家に1枚 宇宙図2007」を製作した。このポスターは2007年度の科学技術週間(4月16日〜22日)にあわせて製作されたもので、多くの人が宇宙のことや、宇宙と自分とのつながりに興味を持ってほしいとの願いが込められている。
現代天文学のあらゆる成果が美しい図と詳細な文章でまとめられた豪華なポスターが完成した。ずばり「宇宙図」と名付けられたポスターは、4月16日から22日にかけての科学技術週間に全国の科学館・博物館で配布される予定だ。また、ダウンロード版はすでに科学技術週間のウェブサイトなどで公開されている。
「今まで、空間的にも時間的にも膨大で実感しにくい宇宙を1枚の図で表現することは不可能と思われてきました。(略)この宇宙図は世界で初めて、宇宙の歴史に関する表示と宇宙の広がりに関する表示を科学的に1枚の図で示すことに成功したのではないかと制作委員会では考えています」と、製作に携わった国立天文台天文情報センター普及室長の縣秀彦さんは語る。
一昨年の科学技術週間では「一家に1枚 周期表」が製作され、昨年は「一家に1枚 ヒトゲノムマップ」が作られた。ポスターを見た縣さんと東京大学大学院の高梨直紘さん、平松正顕さんの発案から、「一家に1枚」シリーズ第3弾「一家に1枚 宇宙図2007」の製作が始まった。高梨さんと平松さんは天文学専攻の学生や科学館関係者などが作る天文学普及ネットワーク「天文学とプラネタリウム」(天プラ)の主催者で、活動内容を月刊星ナビの連載コラムでも紹介している。
製作は日本天文学会天文教材委員会と協力研究者の監修のもと、天プラ、国立天文台天文情報センター、プロのデザイナー、コピーライターなどが7か月にわたって協力して進めてきた。ポスター中心の「宇宙図」は、最新の宇宙論にもとづく計算結果を可視化したものだ。解釈をめぐって研究者が議論を繰り返した末に完成した「宇宙図」には、「物質の起源」と「生命の起源」を中心としたさまざまなできごとが書き込まれている。文章のほとんどを天文学を研究する大学院生が担当したほか、国立天文台長の観山正見さんも「宇宙とはなんだろうか?」「科学とはなんだろうか?」と題したコラムを添えた。
縣さんはポスターに寄せる思いについて「『一家に1枚 宇宙図2007』のポスターには、宇宙の歴史と構造がギュッと詰まっています。そして、子どもたちや市民のみなさんが抱く好奇心や探究心に応じて、いろいろな『疑問』や『発見』や『思い』が湧くように作られています。このポスターを読み解きながら、多くの方々が、もっと宇宙のことや、宇宙と自分のつながりについて知りたくなることを願っています」とコメントしている。
「科学技術週間」は一般の人々が科学技術について理解と関心を深め、日本の科学技術の振興を図ることを目的として昭和35年2月に制定された。今年の期間中も全国各地の科学館や博物館を中心にさまざまなイベントが実施される。