JAXA、6機の公募小型衛星に打ち上げ機会を提供
【2007年5月17日 JAXA】
本格的な人工衛星を開発して打ち上げるにはあまりに高度な技術と膨大なコストがかかる。それに対して、大きさ数十センチメートル程度の小型衛星を作って大型衛星の打ち上げに「便乗」させることには現実味があり、世界中の民間企業や大学などが取り組んでいる。
日本でも大学の研究室が小型衛星を開発し、国内外のロケットに搭載して打ち上げた例はある。宇宙航空研究開発機構(JAXA)はこの動きを活性化させ宇宙開発利用のすそ野を広げるべく、H-IIAロケットによる打ち上げの機会を提供し、搭載する小型衛星を広く募集していた。
公募には21件の応募があり、6つの小型衛星が打ち上げ第一陣として選ばれた。2008年夏期に打ち上げられるH-IIAロケットに、主衛星やJAXAの副衛星とともに搭載される予定だ。JAXAは今回選ばれなかった小型衛星についても、今後機会を提供していく予定だとしている。
搭載が決まった小型衛星は次のとおり。
- SOHLA-1
- 大阪府東大阪市の中小企業が結集した「東大阪宇宙開発協同組合」が開発。技術試験や雷の観測と並んで、人工衛星作りを地元産業として定着させることも目的。打ち上げ後に「まいど1号」と命名される予定。
- SPRITE-SAT
- 東北大学が開発。大気高層で起きる「スプライト」と呼ばれる発光現象や地球に起源を持つガンマ線フラッシュを観測する。
- かがやき
- 日本の民間企業初となる小型衛星で、ソラン株式会社を中心としたプロジェクト。デブリなどの観測装置を東海大学と共同で開発。さらにミッションを通じて子どもの夢を宇宙につなげる。
- PRISM
- 東京大学が開発。独自の折りたたみ式望遠鏡を展開し、地球観測実験を行う。同チームが開発した小型衛星CubeSatは2003年と2005年に打ち上げられ現在も運用中。
- STARS
- 香川大学が開発。テザー(つな)で結ばれた親機と子機からなり、テザーを通じた制御実験を行う。地域産業の活性化と教育的波及効果にも期待がかかる。
- 航空高専衛星KKS-1
- 都立産業技術高専の学生と教員が連携して開発。地上との通信実験や超小型推進装置の実証を行う。衛星開発者としては世界最年少級である15歳のメンバーもいる。
それぞれの小型衛星の詳細に関しては関連リンクを参照されたい。