国立天文台最古の電波望遠鏡を復元
【2007年8月1日 国立天文台 アストロ・トピックス(317)】
国立天文台野辺山観測所では、国立天文台(旧東京天文台)で最初に作られた200メガヘルツ(波長1.5メートル)電波望遠鏡の復元を目指して2005年より準備を進めてきましたが、このたび野辺山構内に設置し外観を復元することができました。
この電波望遠鏡は、故畑中武夫(はたなかたけお)教授が中心となって1949年(昭和24年)に当時の東京天文台三鷹の敷地内に建設されたもので、日本の電波天文学の礎となった記念すべきものです。現在観測に使用されているパラボラアンテナとは異なり、縦2.5メートル、横5メートルの木製の枠に、金属棒を固定してアンテナとしていました。また、戦後間もない時期であったため、架台には戦前(1936年)の日食観測に使用された光学望遠鏡の赤道儀の一部を流用していました。今回復元した電波望遠鏡に用いている2台の鉄塔と巨大な軸は当時のものです。それ以外の部分については、残されていた数枚の写真を手がかりに新たに製作しました。ただし、この復元電波望遠鏡では実際の電波観測を行うことはできません。
この復元した電波望遠鏡は野辺山の見学コース内に設置されていますので、8月8日以降の一般見学や、8月25日の特別公開でもご覧いただけるようになります。
なお、この電波望遠鏡の復元完成にあたり、8月8日(水)に国立天文台野辺山において、この電波望遠鏡の当時の建設や観測に携わった関係者への経過報告会と簡単なお披露目会を行う予定です。
(※この件に関するお問い合わせは、国立天文台野辺山(TEL: 0267-98-4300(代表))まで)