松江市の安部さん、こぎつね座に新星らしい天体を発見

【2007年8月9日 VSOLJニュース（178）】

（著者：山岡均さん（九大理））

「こぎつね座」は面積は小さな星座ですが、夏の天の川の中にあるために、数々の新星や変光星がとらえられています。この「こぎつね座」のなかに、新星らしい天体が発見されました。発見したのは、島根県松江市八束町に観測所を構えるアマチュア天文家、安部裕史（あべひろし）さんです。安部さんは、これまでにも小惑星を数々発見されてきた、ベテラン観測者です。

安部さんは、8月8日夕方（8.54日世界時、以下同様）に撮影したデジカメ画像から、9.5等の見慣れない星を発見しました。7月23日、31日、および8月4日に撮影した画像には、同じ位置には11.5等より明るい星は写っていませんでした。8.682日に、埼玉県上尾市の門田健一（かどたけんいち）さんが撮影した確認画像で測定された位置は、以下のとおりです。

  赤経  19時54分24.64秒
  赤緯 +20度52分51.9秒  （2000年分点）
  新星周辺の星図

23秒角ほど南西にある12等星とは別の星で、18等ほどの星と位置がかなりよく一致します。この18等の星が増光したとすると、数日間で8等級以上（1000倍強）の増光で、古典的な新星である可能性が高いものと思われます。

今後、スペクトル観測や、光度変化の追跡が期待されます。

「こぎつね座の新星らしい天体」の位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ Ver.8」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。