12等台の超新星が2つ、見ごろに
【2007年8月23日 アストロアーツ】
超新星は、実際にはひじょうに明るい現象だが、ふつうは遠方の銀河にあるのでとても暗い。そんな中にあって、12等台と比較的明るい超新星が2つ見えている。望遠鏡をお持ちの方は観測に挑戦してみよう。
明るい2つの超新星が見ごろです(文:滋賀県ダイニックアストロパーク天究館 高橋進さん)
超新星は恒星がその最期に大爆発を起こす現象です。近年は遠方の銀河を観測することにより多数の超新星が見つかるようになり、超新星現象の研究も急速に進歩しています。
7月31日に山形県の板垣公一さんが、おおぐま座の銀河NGC 4036に発見した超新星2007giは発見時は16.3等でしたが、その後じわじわと明るさを増していきました。スペクトル観測によると、この超新星は水素の輝線が見られないIa型超新星で、近接連星系で伴星からのガスの流れ込みにより白色矮星がチャンドラセカール限界質量を超えて爆発を起こしたものであることがわかりました。超新星2007giはその後ゆっくりと明るくなり、8月中旬でおよそ12.9等にまでなっています。
今後はゆっくりと減光していくことと思いますが、NGC 4036は北斗七星の北側のわかりやすい位置です。明け方前の北東の空で観測できますのでこの機会にぜひご覧ください。
8月15日にLick天文台の自動撮像望遠鏡KAITがペルセウス座の銀河NGC 1058に発見した超新星は13.8等で、2007grと命名されました。8月14日に板垣さんが撮影した画像に14.5等で写っていますので、爆発直後の発見と思われます。スペクトル観測からIb/c型であることがわかりました。これは外層部をなくしたウォルフ・ライエ星という大質量星の重力崩壊による超新星爆発です。大質量星がブラックホールになるときに起こすハイパーノバ(極超新星)の可能性もあります。この超新星は8月21日現在でおよそ12等台前半で観測されています。この機会にぜひお楽しみください。
超新星2007giと2007grの位置
この天体は天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ Ver.8」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。