海王星の南極が熱い
【2007年9月28日 ESO Press Releses】
ヨーロッパ南天天文台(ESO)の大型望遠鏡VLTが海王星を観測し、南極が周辺に比べて10度ほど暖かくなっているようすをとらえた。海王星に届く太陽光は微弱だが、長い間あたり続けると大きな影響を及ぼすと見られている。
NASAのジェット推進研究所(JPL)のGlenn Orton氏が率いる国際研究チームが、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の大型望遠鏡VLT(Very Large Telescope)を使って海王星の大気を調べ、温度の分布図を作成した。
観測の結果、海王星の南極は長年にわたり太陽光で暖められたために、温度が上昇していることが明らかとなった。海王星の表面温度は平均で摂氏マイナス200度だが、南極はそれよりも10度ほど高くなっている。
海王星は、太陽系のなかでもっとも遠い惑星だ。太陽からの距離は、太陽・地球間の30倍もあり、届く光の強さも地球の900分の1しかない。それでも、太陽光は大きな影響を及ぼしているのだ。
Orton氏は、「海王星の南極は、現在太陽の方向に傾いています。ちょうど、地球で南半球が夏を迎えているとき、南極が太陽の方向に傾いているのと同じです。しかし、海王星における南極の夏は、(地球のように)数か月ではなく、40年も続くのです。その間に降りそそぐ太陽光のエネルギーは相当の量になり、日光が当たり続けるところと、昼夜があるところとの間に大きな温度差が生じるのです」と話している。