銀河の外側で生まれた若い星団

【2008年5月1日 GALEX

M83銀河の外側、つまり星を作る材料はほとんどないと考えられている領域で、若い星団が数多く発見された。


2つの波長の紫外線で観測したM83

M83。GALEXが2つの波長の紫外線で撮影した擬似色画像。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/MPIA)

紫外線波長と電波で観測したM83の画像

M83。GALEXが2つの波長の紫外線で撮影したデータとVLA(超大型電波干渉計)による電波観測のデータを合わせた擬似色画像。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/VLA/MPIA)

M83は、うみへび座の方向、約1500万光年の距離に位置する銀河である。

1枚目の画像は、NASAESAの紫外線天文衛星GALEXが2つの紫外線の波長でとらえたM83の画像である。また、2枚目の画像は、GALEXのデータとアメリカ国立科学財団(NSF)のVLA(超大型電波干渉計)による電波による観測データとを重ねたものである。

1枚目の画像では、腕に存在する若い星団が青い擬似カラーで示されている。一方、2枚目の画像には、銀河のディスク(円盤)から伸びる長い腕が赤い擬似カラーで浮かび上がっている。

M83の直径は、約4万光年。一方GALEXの最新の観測で発見された星団は、銀河の中心から10万光年以上も離れて存在しており、研究者を驚かせている。そのような領域は、星の元となる物質が希薄で、不毛に近いと考えられているからだ。

予想外の領域に存在する星のなぞを探るため、電波観測が行われた。すると、GALEXのとらえた星の分布に対応した、(星の材料となる)水素原子ガスの存在が明らかとなったのである。

この結果は、M83の中心から離れて存在する若い星たちが、初期宇宙と同じような、つまり現在の宇宙に比べて星の材料となるちりや重元素が少ない条件下で誕生した可能性を示している。

米・ワシントン・カーネギー協会天文台のMark Seibert氏は、「現在もっとも強力な望遠鏡をもってしても、宇宙で一番最初につくられた星を研究することは難しいのです。これら最新の観測結果は、初期宇宙の星形成を明らかにするうえで、とても貴重なものです」と話している。