正統派SF映画「神様のパズル」、公開中

【2008年6月17日 アストロアーツ】

宇宙に興味を持っている人が存分に楽しめる映画が現在公開中だ。テーマは壮大で、主人公である2人の若者が「宇宙は作れる」ということを巨大加速器を使って証明することに挑むが、地球消滅の危機を招く事態にまで発展する。映画の原作は、第3回小松左京賞を受賞した機本伸司作のSF小説「神様のパズル」。正統派のSF映画が壊滅状態の昨今としては、貴重な作品だ。


(映画館入り口のポスターの画像)

映画館入り口のポスター。クリックで拡大(以下同)

(映画のパンフレット(左)と原作本(右)の写真)

映画のパンフレット(左)と原作本(右)。

「宇宙論」がテーマの映画が公開されている。

ロック歌手志望の主人公、基一がたまたま弟の代わりに大学の物理学科のゼミに参加することで、ストーリーが始まる。基一は、天才女子学生(沙羅華)に接近する目的で「人間は宇宙を作ることができるのか」と疑問をぶつける。それがきっかけで、2人はチームを組んで「宇宙は作れる」ことを証明することになる。そして、宇宙開闢(かいびゃく)のカギを思いついた天才少女は巨大加速器を使って自分の理論を確かめようとする。

というと、がちがちのハードSFかと思われるが、監督は「ゼブラーマン」「スキヤキ・ウェスタンジャンゴ」の三池崇史。前半はドタバタコメディ、後半はパニックムービーに仕上がっているので、肩の力を抜いて楽しめる映画になっている。

しかし、「宇宙はなぜ始まったのか」「人間はどうしてここにいるのか」といった天文ファンなら夜空を眺めて思い巡らす想いがそのまま表現されているので、宇宙に興味を持っている人こそ存分に楽しめる映画だ。

主演は「天子の卵」「虹の女神」でナイーブな少年を演じきった市原隼人。天才少女役にはテレビドラマ「まんてん」でデビューした谷村美月。映画ファンなら海賊版DVD撲滅キャンペーンで黒い涙を流していた娘といえばわかるだろう。

原作は第3回小松左京賞を受賞した機本伸司の小説「神様のパズル(単行本・文庫本)。映画では、思考実験のやりとりがビジュアルにまとめられていたが、そこをじっくり読みたいなら原作を読むしかない。また、コミック「神様のパズル 1 (Flex Comix) 」も発売中だ。

ともあれ、ファンタジー映画は数あれど、正統派のSF映画が壊滅状態の昨今、「神様のパズル」は貴重な存在だ。公開期間もそう長くはないので、お見逃しなく!

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