系外惑星、ついに300個時代に突入(1/2)
【2008年7月7日 アストロアーツ】
私たちの太陽系の惑星は8つだが、太陽系外に目を向けると太陽以外の恒星をまわる惑星が多数発見されている。2008年6月、ついに系外惑星の発見数は総計300個を突破した。この分野で活躍する4名の研究者に系外惑星研究の今後についてお話をうかがった。
系外惑星の発見数の伸びは驚くべきハイペースだ。系外惑星の情報を集約しているサイト「The Extrasolar Planets Encyclopaedia」によれば、2008年7月7日現在、系外惑星の発見数は総計307個に達している。ちなみに200個に達したのは2006年7月で、0個から200個までの道のりには約11年間かかっている。2007年の発見数は62個、今年はさらにそれを上回る勢いで伸びている。
発見方法の内訳を見ると、その9割以上を占めているのは、惑星の公転に起因する恒星の光のドップラー効果を検出する「ドップラー法」だ。それ以外の方法による発見や観測は全体から見ればほんの一部であるが、重要な情報をもたらしてくれているという。第2の地球はいつ発見されるのか? と期待が高まっているが、研究者の関心はそれだけにはとどまらないようだ。この分野で活躍されている4名の研究者に系外惑星研究のトレンドや今後の展望についてお話をうかがった。(聞き手:大川拓也)
井田 茂さん(東京工業大学地球惑星科学科教授)
− 系外惑星の発見数がついに300個を超えました。これでどのようなことがわかってくるのでしょうか。
総計では300個ですが、その中で、恒星の光をさえぎることがあるトランジット惑星が50個を超えたことが注目に値します。今後はトランジットからわかる惑星の性質の統計的な議論が始まってくるでしょう。
− なるほど、惑星が恒星の光をさえぎる確率が低くても、そのような重要なサンプルが多数見つかってきているということなのですね。
惑星による空間のゆがみをとらえる重力マイクロレンズ法による発見数も10個に迫っています。系外惑星の多くはドップラー法で発見されていますが、それとは違う手法による発見が増えることは、系外惑星の性質を多面的に知る上ではとても重要なことです。
− いろいろな方法でいろいろな惑星が発見されていますが、異形の惑星の中で今後の注目株は何でしょうか?
ドップラー法はますます洗練されてきて、ガス惑星ではなく、スーパー・アース(地球の10倍程度の質量を持つ固体惑星)の発見が急ピッチになってきました。スーパー・アースは今後の注目です。
− スーパーアースですか。太陽系の惑星しか知らないのは井の中の蛙、ということになりそうですね。
佐藤文衛さん(東京工業大学グローバルエッジ研究院特任助教)
− 宇宙は“地球”であふれている、かどうかを探求されているのでしょうか。
私は主にドップラーシフト法を用いて系外惑星を探していますが、木星型惑星にも重要な発見が続いています。たとえば軌道面が大きく傾いたホット・ジュピターが発見されました。これは惑星形成シナリオの多様性を物語っています。
− 系外惑星の研究は地球に似たものを探すという方向性ばかりではないのですね。佐藤さんは巨星を回る木星型惑星を発見されていますが、太陽に似ていない恒星にも惑星が存在するとなると、宇宙は惑星であふれているのでは?と思えてきます。
巨星のまわりの惑星はここ数年発見数が増えてきており、太陽型星のまわりの惑星とは異なる性質が表れ始めています。地球型の発見に注目が集まっていますが、今後も木星型惑星から目を離さないでほしいと思います。
− 今後の新発見にも期待しています。