宇宙のダイヤをかすめた彗星探査機
【2008年9月8日 ESA News】
日本時間の6日、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の彗星探査機ロゼッタが小惑星シュテインス((2867) Steins)の近くを通過し、撮影に成功した。シュテインス全体はダイヤモンドのような形で、大小のクレーターも確認できる。
ロゼッタは2004年3月に打ち上げられた探査機で、2014年に最終目標であるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P/Churyumov-Gerasimenko)に到着する。現在は火星と木星の間の小惑星帯を飛行中だが、日本時間6日の早朝に小惑星シュテインスから800kmの位置を秒速8.6km(時速3万1000km)で接近通過し、撮影および赤外線スペクトルの測定を行った。長い旅の中で、今回が初めての本格的な探査活動だ。
遠くから見たシュテインスの姿をひと言で言えば、「空に浮かぶダイヤモンド」。形だけでなく、明るさ(太陽光の反射率)も小惑星にしてはかなりのものだ。この点については赤外線スペクトルを分析することで表面の砂粒の大きさなどがわかり、解明されるかもしれない。
一方、最接近時の画像には、小惑星らしくクレーターだらけの姿が写っている。最大のクレーターは直径2kmもあり、かなり古い小惑星であることを示唆している。シュテインス自体の直径は約5kmで、これだけの衝撃に耐えられたという事実は科学者の興味をひいている。
ロゼッタのミッション・マネージャーを務めるGerhard Schwehm氏は小惑星の観測がもたらす成果にも期待を寄せている。「今回が科学探査の最初のハイライトですが、間違いなくこの先にも多くのことが待ち受けているでしょう。私はすでに、次の空に浮かぶダイヤモンドと出会うときが楽しみなんです。もっと大きな小惑星、ルテティア(2010年に接近)とね」