火星に雪を検出したフェニックス
【2008年10月2日 JPL】
NASAの火星探査機フェニックスが、高度約4kmにある雲から降る雪を検出した。この雪は地表に届かずに蒸発してしまうが、火星の雪が地表に到達する可能性もあるとして、その証拠探しが進められている。
フェニックスに搭載されているレーザー観測装置が火星の雲をとらえた。観測時間と高度を表した画像に、雲から下方に伸びる複数の筋が見られたのだ。この筋は、雲から落ちてくる氷の結晶で、筋が曲がっているのは風にあおられているためである。
現在、火星の気候は暖かく、この雪は凍った二酸化炭素(ドライアイス)ではなく水を主成分とするものであると研究者は結論づけている。
フェニックスに搭載されている気象測定装置の主任科学者を務める、米・ヨーク大学のJim Whiteway氏は、「このような光景が見られたのは初めてのことです。雪が地表に到達する可能性も考えられますので、われわれはその証拠を探しています」と話している。
なお、当初3か月の予定で始まったフェニックスの火星探査は、5か月目に入っている。着陸間もないころには、着陸地点から見える太陽が地平線の下に沈むことはなかった。しかし、今では4時間以上も沈む日が続いている。そのため、太陽電池パネルによる発電量は週ごとに落ちており、ロボットアームを使えるのは10月末ごろまでと見られている。
また、発電量の減少に伴って、年末までにフェニックスの活動自体も不可能となる。2009年2月から11月まで、フェニックスは二酸化炭素の氷にすっぽりと覆われてしまうのである。フェニックスの運用チームでは、発電が止まる前にマイクを作動させて火星の音をとらえる予定だ。