チャンドラヤーン1号から、最新月面画像
【2009年1月23日 NASA / ISRO】
昨年10月に打ち上げられたインドの無人月探査衛星「チャンドラヤーン1号(Chandrayaan-1)」が得た最新の画像が公開された。レーダーによる観測では、暗いクレーターの内部がとらえられ、初めて内部の起伏が明らかになった。また、地形カメラによる観測から、月の地形の一部がデジタル標高モデルとして立体的に浮かび上がった。
1枚目は、極域にあるハワース(Haworth)クレーターの周辺をとらえた画像を背景に、同クレーター内部をとらえた細長い画像を重ねたものである。細長い領域は縦横がそれぞれ50km×18kmで、チャンドラヤーン1号に搭載されているNASAのレーダー「Mini-SAR」が観測した。背景の画像は、アレシポ天文台の電波望遠鏡による観測で得られたものである。
細長い領域に見られる白っぽく明るい部分は、表面が凸凹しているか、または、衛星に対して傾斜していることを示している。地球からこのクレーターを直接観測することはできない。その内部に太陽光があたることはなく、内部の起伏が明らかになったのは初めてのことである。Mini-SARは今後、両極域でクレーター内に水の氷が存在するかどうかを明らかにするための探査を行う。
2枚目は、インドが独自に開発した地形カメラTMCによって得られたデータから作成されたデジタル標高モデルである。同カメラは、空間・距離(高度)において高い分解能を持ち、今後月の3次元地図を作成する目的で、月の両面の地形を詳しく調べる予定だ。
なお、Mini-SAR計画の責任者を務めるNASAの宇宙活動ミッション局のJason Crusan氏は、「数か月間のうちに、本格的な観測が開始し、貴重なデータな集まることを期待しています」と述べている。