月探査機ルナー・リコナサンス・オービターの初画像
【2009年7月7日 NASA】
NASAは、6月18日に打ち上げた月探査機ルナー・リコナサンス・オービター(LRO)の初画像を公開した。現在、機器の試験と調整のために楕円軌道を回っているLROは、8月から約50kmの高度で月を周回し、本格的な観測を始める。
6月18日に打ち上げられ、23日に月周回楕円軌道に投入されたNASAのルナー・リコナサンス・オービター(LRO)から届いた初画像が公開された。
写っているのは、ヘルE(Hell E)クレーターの数km東にある「雲の海(Mare Nubium)」の南の高地。画像は幅1.4kmの領域に相当し、3mほどの大きさまで見分けられる。LROのカメラは低解像度の広視野カメラと高解像度の狭視野カメラで構成されている。6月30日に起動したカメラの状態は良好であることが、画像からうかがえる。
カメラに加え、6つの観測機器が月の表面を分析する。このうち2つは19日から稼働している。ロシアで開発された中性子検出器(LEND)は水素の分布を調べ、水の氷を探す。放射線の影響を調べる宇宙線望遠鏡(CReTER)はその名のとおり、防護壁となる大気が存在しない月で、人体に有害な放射線がどれだけ降り注いでいるか調査する。皮膚を模した樹脂を使った吸収実験も行う。
今週は3つの機器のテストを実施する。レーザー高度計(LOLA)は照射したレーザーが反射してくるまでの時間から高度を計測。将来の着陸地点を探すための月面立体地図が作られる。「Diviner(水脈・鉱脈の予測師)」の名がつく放射計(DLRE)は、さまざまな波長の赤外線をとらえ、月面の温度を測定して氷が残る極低温領域を探すとともに、鉱物の分布を調べる。実験的なレーダー装置(Mini-RF)は、光の当たらないクレーターを撮影したり地下に眠る氷を探したりできる性能を持つ。
最後に起動するライマン・アルファマッピング装置(LAMP)は月面を短波長の紫外線でくまなく調べ、水素原子特有のスペクトルを探す。成功すれば間接的に水の存在を証明できる。