幼い星が彩るオメガ星雲

【2009年7月10日 ESO

オメガ星雲の中心は、天の川銀河の中でも、もっとも活発な星形成領域のひとつである。誕生して間もない星たちが放つ強い紫外線によって、さまざまな成分のガスが輝き、水彩画を思わせる光景を見せている。


(チリのLa Silla天文台の3.58mNTT望遠鏡に搭載されている撮像装置EMMIがとらえたオメガ星雲(M17)の画像)

チリのLa Silla天文台の3.58mNTT望遠鏡に搭載されている撮像装置EMMIがとらえたオメガ星雲(M17)。クリックで拡大(提供:ESO)

いて座の方向約5500光年の距離にあるオメガ星雲(M17)は、近年の観測で、天の川銀河の中でもっとも若い巨大な星形成領域のひとつであることが明らかとなっている。

この画像は、チリのLa Silla天文台の3.58mNTT望遠鏡が撮像装置EMMIを使ってとらえたオメガ星雲の中心領域である。暗く巨大な分子ガスの一角にある星形成領域の大きさは約15光年。数百万年前に始まった活発な星の誕生は、今も続いている。

生まれたばかりの星が放つ強い紫外線を受けて、星雲のガスに含まれる水素や酸素、窒素、硫黄などが輝き、繊細な水彩画のような光景を見せている。

オメガ星雲は、スイス人天文学者シェゾーによって1745年ごろに発見された天体だ。さらにその20年後にフランス人彗星ハンターのメシエによって再発見され、メシエ・カタログの17番に登録された。

小口径の望遠鏡では、M17の姿は棒状の光にしか見えない。現在ほど望遠鏡が発達していなかったころは、それが星雲なのかそれとも星団なのかは区別できなかったが、1866年に英国人天文学者のウィリアム・ハギンズが当時まだめずらしかった分光器観測により、星雲であることを確認した。