国貞や又兵衛の名が水星のクレーターに

【2009年7月27日 MESSENGER Web Site

国際天文学連合(IAU)は、浮世絵師 歌川国貞にちなんだ「Kunisada」や江戸初期の絵師 岩佐又兵衛にちなんだ「Matabei」など、NASAの水星探査機メッセンジャー(MESSENGER)が昨年発見した16個のクレーターの名前を発表した。


(2008年1月に初めて撮影された水星の一面)

2008年1月に初めて撮影された水星の一面。クリックで拡大(提供:NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Carnegie Institution of Washington)

水星探査機メッセンジャー(MESSENGER)は、2008年1月にマリナー10号以来33年ぶりに水星に接近し、同年10月にも再び接近した。2度の接近で、これまで撮影されたことのない地形がとらえられた。

新しく見つかった地形のうち、2008月4月に12個、続いてさらに15個が12月に命名されていた。

今回つけられた新しい名前の一部は、メッセンジャーの科学チームがIAUに提案したもので、そのほかIAUがあらかじめ承認していた候補の中からも選ばれた。

個々のクレーターの名前は以下のとおりで、世界的に有名な作家であるアーネスト・ヘミングウェイにちなんだ「Hemingway」や江戸時代の浮世絵師 歌川国貞に因んだ「Kunisada」も含まれている。

《クレーターにつけられた名前と由来する人物》

名前 由来する人物
AbedinZainul Abedin、バングラディッシュの画家、版画家。1943年のベンガル飢饉を描いたスケッチで注目を浴びた。
BenoitRigaud Benoit、ハイチの美術運動「ナイーブアート」の初期メンバー。
BerkelSabri Berkel、トルコの画家、版画家。
CalvinoItalo Calvino、イタリアの短編作家、小説家。
de GraftJoe Coleman De Graft、ガーナの作家、劇作家。1962年にガーナ・ドラマ・スタジオ(Ghana Drama Studio)の初代所長に任命された。
DerainAndre Derain、フランスの画家。アンリ・マティスとともに野獣派(フォーヴィスム)を立ち上げた。
EastmanCharles A. Eastman、ネイティブ・アメリカンの作家であり医師。米国ボーイ・スカウトの設立にたずさわった改革者。
GibranKahlil(Khalil)Gibran、レバノン系出身でアメリカの芸術家、詩人、作家。英語で散文的に書かれた哲学的エッセイ『預言者(The Prophet)』(1923年)がもっともよく知られている。
HemingwayErnest Hemingway、アメリカの作家、ジャーナリスト。20世紀のフィクションの発展に多大な影響を与えた。
HodgkinsFrances Hodgkins、ニュージーランドの画家。
IzquierdoMaría Izquierdo、メキシコの画家。メキシコの伝統や風景を作品のインスピレーションとした。
KunisadaUtagawa Kunisada(歌川国貞)、日本の版画家。19世紀でもっとも支持され、多くの作品を手がけ経済的にも成功したと言われる。
LangeDorothea Lange、アメリカのフォトジャーナリスト、ドキュメンタリー写真家。大恐慌時代に農業安定局向けに農業状況の膨大な記録作業を行ったことでもっともよく知られる。
MatabeiIwasa Matabei(岩佐又兵衛)、歴史的事件を題材とした風俗画、日本や中国の古典文学を題材とした画像、肖像画などを描いた日本の画家。
MunkácsyMihály Munkácsy、ハンガリーの画家でパリで生活を送った。風俗画と聖を題材とした大規模な作品で世界的名声を得た。
To Ngoc Vanベトナムの油絵の大家。その様式はフランスの画家ゴーギャンの影響を受けた。