ハーシェルが見た、天の川に浮かぶガス雲
【2009年10月9日 ESA】
ESAの赤外線天文衛星「ハーシェル(Herschel)」が、天の川にある冷たいガス雲をとらえ、繊維状の構造や複数の星形成領域が存在することを明らかにした。
11月からの本格的な観測開始を前に、9月3日にハーシェルが天の川の中にあるみなみじゅうじ座の方向を観測した。通常、可視光の観測では、この領域は多くの分子雲に阻まれて何も見えないが、赤外線なら雲を見通すことができ、さらに雲自身の輝きもとらえることができる。そのため、この領域が同衛星の試験観測の対象に選ばれた。
観測の結果、地球から約数千光年の距離にあるガス雲の複雑な構造とそこで進んでいる予想外に活発な星形成が明らかとなった。また、ガス雲を構成する冷たい物質の質量や温度、組成に関する情報も得られた。
公開された画像には、星間物質が集まって繊維状となった構造が見えている。また、ガス雲の中には星形成領域が点在しており、まるで糸に通したビーズのように、複数の小さな丸い点として見えている。