主星の自転に逆行する惑星を発見
【2009年11月10日 すばる望遠鏡】
すばる望遠鏡が、はくちょう座の方向およそ1000光年の距離にある恒星を観測し、そのまわりを回る惑星HAT-P-7bが恒星の自転とは逆向きに公転していることを発見した。
系外惑星は1995年に初めてその存在が確認されて以来、候補天体を含めこれまでに400個ほど発見されている。その多くは、太陽系の惑星とは異なり、たった数日で恒星のまわりを公転したり、極端な楕円を描いて公転していたりする。
また、私たちの太陽系のすべての惑星は、公転する軸が太陽の自転軸と10度以内で揃っており、惑星は太陽が自転する向きとほぼ同じ向きに公転している。理論上は、惑星の公転軸がもとの軸から大きく傾いて、場合によっては主星の自転軸に対する惑星の公転軸の傾き(公転軌道傾斜角)が90度を超える、つまり逆行する可能性もあるとされているが、これまで実際に観測された例はなかった。
国立天文台の特別研究員 成田憲保氏を中心とする研究チームは、2008年5月30日にすばる望遠鏡の高分散分光器を使って、地球から見て惑星が恒星の前を横切る現象「トランジット」を観測した。
その結果、世界で初めて惑星HAT-P-7bの逆行を示すロシター効果(惑星を持つ恒星が見かけ上遠ざかったり近づいたりして見える効果)を検出した。これは、惑星が恒星の光球面の遠ざかる側を隠し、その後で恒星の近づく側を隠したことを示しており、地球から見て惑星が主星の自転に逆行して公転していることを示唆している。また、米・マサチューセッツ工科大学のJoshua Winn助教授を中心とする研究チームも、2009年7月1日にすばる望遠鏡の同分光器で同じ恒星を観測し、HAT-P-7bの逆行を示す観測結果を得ている。
ただし、HAT-P-7bの軌道が、伴星の影響によるものか、または惑星同士が重力によって互いをはじき飛ばす「惑星散乱」によってできたのかは、まだわかっていない。そのため、外側にあると期待される巨大惑星や伴星の探索が今後の重要課題とされている。また、HAT-P-7bは2009年3月に打ち上げられたNASAの系外惑星探査衛星ケプラーの観測領域内にあるため、今後のケプラーによって詳細な性質が明らかになっていくと期待されている。
ステラナビゲータ Ver.8で系外惑星の位置を表示
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