NASAの赤外線天文衛星「WISE」、打ち上げ成功

【2009年12月16日 NASA(1)(2)

赤外線天文衛星WISEを搭載したデルタIIロケットが、米国東部時間(以下同様)14日午前9時9分(日本時間23時9分)に米・カリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地から打ち上げられた。


(赤外線天文衛星WISEの想像図)

赤外線天文衛星「WISE」の想像図(提供:NASA/JPL)

(赤外線天文衛星WISEの打ち上げ画像)

赤外線天文衛星「WISE」の打ち上げのようす。クリックで拡大(提供:United Launch Alliance)

WISEは、打ち上げから数分後、太陽の方向へ向けて太陽電池パネルを開き、さらに低温維持装置のバルブを開き、極低温の水素を使った検出器の冷却を開始した。天体が発する赤外線(熱)をとらえるためは、検出器が摂氏マイナス230度以下に保たれる必要があるからだ。

WISEの主任研究員で、米・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のNed Wright氏は、「WISEの温度は観測する天体よりも低くなくてはなりません。これで、何万個もの小惑星や何億もの星や銀河が発する赤外線をとらえる準備が整いました」と話している。

WISEは、今後約1か月かけて搭載機器の調整を行い、その後約9か月にわたって観測を行う。WISEの目的は、特定の天体の観測ではなく、全天のサーベイである。その過程で、数百万枚にのぼる画像が撮影され、地球に接近する軌道を持つ小惑星や彗星などの地球近傍天体、ブラックホールが潜む遠方の銀河、星を大量に生み出している銀河などがとらえられ、カタログ化される。