これまでにない新しいタイプの超新星爆発を発見

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【2011年6月14日 カリフォルニア工科大学

既に発見されていた、変わった特徴を持つ2つの超新星爆発と、新たに見つかった4つの超新星爆発が、これまで知られている超新星爆発とは異なったタイプであることがわかった。いずれも太陽の100倍以上の質量を持つ、非常に遠い星の爆発であるため、初期宇宙の様子を探る上で貴重な手がかりとなるかもしれない。


(新しく分類された超新星爆発の画像)

新しく分類された超新星爆発の画像。左側が爆発前、右側が爆発後で、4つの超新星爆発を載せている。上からPTF09atu、PTF09cnd、PTF09cwl、PTF10cwrという天体名が付けられている。クリックで拡大(提供:Caltech/Robert Quimby/Nature)

(観測に用いられたサミュエル・オースチン望遠鏡の画像)

観測に用いられた口径1.2mのサミュエル・オースチン望遠鏡。クリックで拡大(提供:Caltech/Scott Kardel/Robert Quimby/modified from Nature)

超新星爆発はその発生プロセスや明るさ、スペクトルのタイプからIa型やII型などに分類されているが、今回、これまでの分類には当てはまらない超新星が4つ発見された。これまで見つかっていた分類不明だった2つとあわせ、新しい分類に属するものである。

このタイプの超新星爆発が初めて見つかったのは2005年のことだ。2005apと名づけられたこの超新星は普通の超新星爆発の10倍以上(太陽の1000億倍以上)明るかったため、絶対等級がすべて一定のIa型()ではなくII型超新星であると思われたが、スペクトルを調べると、II型超新星で見られるはずの水素のスペクトルが見られなかった。

ほぼ時を同じくして、ハッブル宇宙望遠鏡によって同じような超新星SCP 06F6が発見されたが、スペクトルが異なっており、発見当時は同じタイプだとは考えられていなかった。しかし、宇宙膨張による赤方偏移の効果を入れると、約30億光年離れている2005apと約80億光年離れているSCP 06F6がよく似ていることがわかった。

さらに、パロマー天文台にある口径1.2mのサミュエル・オースチン望遠鏡を用いた観測で、2005apとSCP 06F6に似た4つの超新星が発見された。これら4つの超新星は30億光年から80億光年の間を埋める形で発見され、新しい分類とするのに非常に都合の良い天体であった。

これらの天体はいずれも紫外線の領域で最も明るく輝くとても「青い」天体であり、通常の超新星爆発と比較しても非常に明るいものであった。また、通常の超新星爆発よりもゆっくりと、およそ50日かけて徐々に暗くなっていった。

この不思議な超新星爆発を説明するモデルは今のところ2通り考えられている。1つは太陽の90〜130倍の質量を持った脈動星の爆発、もう1つは超新星爆発の後にマグネターが残っているような状況だ。

脈動星は、水素がなくなった外層のガスを脈動によって星の周囲に放出する。この星が超新星爆発を起こすと、爆発の衝撃で周囲のガスが加熱されるために通常の爆発よりも高温で明るくなると考えられる。

マグネターは、強い磁場を持ち高速で回転している中性子星のことを指すが、この磁場が超新星爆発で発生した粒子と相互作用を起こし、そこで出たエネルギーで周りにある物質を加熱することによって通常よりも明るく輝くことができると考えられる。

今回発見された天体はどれも数十億の星からなる矮小銀河(天の川銀河は2000〜4000億の星からなる)に属しており、この超新星の明るさは、属している銀河そのものの明るさよりも明るい。この明るさを利用すると銀河間のガスの分布や矮小銀河自体を理解できる可能性があり、初期宇宙の様子を探る上で貴重な手がかりになるかもしれない。

注:「Ia型超新星の明るさ」 白色矮星に伴星のガスが積もり、太陽の質量の1.4倍を超えた時に起きるのがIa型超新星爆発。爆発前の星の質量がすべて太陽の1.4倍で揃っているので、爆発時の明るさもほぼ同じになる。これを利用して、Ia型超新星爆発が起きた銀河までの距離の指標として用いられる。