電波天文観測衛星ASTRO-Gが計画中止へ

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【2011年8月29日 JAXA

電波天文観測衛星「はるか」の後継機として開発が進められていた「ASTRO-G」。技術的課題により2009年ごろから開発が危ぶまれていたが、今回正式に計画が中止となりそうだ。


「ASTRO-G」のイメージ図

電波天文観測衛星「ASTRO-G」のイメージ図(提供:JAXA)

ASTRO-Gは、「はるか」の後継機として計画されてきた電波天文観測衛星だ。このプロジェクトでは、9mのアンテナを宇宙空間で展開し、地球の電波望遠鏡と合わせることで口径35,000km相当の電波干渉計としても使えることを目指していた。

科学目的としては、ブラックホール重力場の検証や超高エネルギープラズマ現象の解明、星形成領域における3次元のガス運動を把握することなどが挙げられていた。

しかし、NASAとの協力が不成立となったことや、アンテナの展開が技術的に困難と判明したことで、2009年からほとんどのプロジェクトが一旦休止していた。

その後1年半におよぶ検証の結果、現在達成可能な水準でのアンテナ鏡面精度(アンテナの表面状態の精密度合い)では、科学目的の重要な部分が達成できないこと、また、仮に科学目的を妥協して作成したとしても巨額の予算と時間がかかることが予想されることから、正式に計画を中止する方向で宇宙開発委員会に評価を提案することとなった。

既に開発がスタートしている計画が中止されることは珍しい。宇宙空間を利用した電波干渉計は、今後しばらく実現の見込みがなさそうだ。

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