小型惑星を作るにはヘビーメタルな星は不要
【2012年6月19日 NASA】
地球のような小型岩石惑星は鉄やシリコンなど「金属」が豊富な恒星の周りで形成されると考えられてきたが、金属の量に関わらず多くの恒星で作られる可能性が高いという研究成果を、デンマークの研究者が発表した。
ヘリウムや水素より重い「重元素」は、天文学では「金属」と呼ばれる。惑星は若い星の周りにあるガスと塵の円盤(原始惑星系円盤)から作られるが、その円盤に含まれる金属の量は中心星の金属量を反映している。
これまでは金属が豊富な円盤からより多くの惑星が作られるという仮説が有力であり、短い公転周期を持つ巨大ガス惑星は金属が豊富な恒星の周りでよく発見されてきた。
こうした巨大ガス惑星と同じく、地球のような小型岩石惑星も特定の環境で作られるものなのだろうか。コペンハーゲン大学のLars A. Buchhave氏らの研究チームはそれを調べるため、NASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」や地上の望遠鏡を用いて、海王星より小さい惑星226個を擁する150個以上の恒星の元素組成を調べた。その結果、小型岩石惑星は金属量によらず様々な恒星の周りで生まれていることがわかった。その中には金属量が太陽の4分の1しかない星もある。
つまり、ガス惑星とは異なり、小型惑星の存在率と主星の金属量には大きな相関関係はなかった。地球の4倍以下のサイズの惑星は様々な金属量の星の周りで形成されていたのだ。
「ケプラーにより数千個もの惑星候補を観測できるおかげで、今回のような大局的な疑問を調査できます。得られたデータから、小型惑星は幅広い金属量を持つ星で生まれている可能性が示されました。惑星形成が難しいものだと思ってきましたが、自然の業はもっと自由で多彩に天体を生み出してきたのです」(NASAエイムズ研究センターのNatali Batalha氏)。