惑星の材料がいまだ豊富な1000万歳の恒星
【2013年2月5日 NASA/ヨーロッパ宇宙機関】
惑星を作ることができる年齢を過ぎていると思われていた恒星の周囲に、惑星の材料となるガスが大量に存在するようすが、赤外線観測でとらえられた。
米ミシガン大学アナーバー校のEdwin Berginさんらの研究で、176光年かなたにあるうみへび座TW星(以下TW星)の周囲の円盤に、これまでの見積もりよりも大量の物質が含まれていることがわかった。
私たちの太陽系の惑星は地球を含め、生まれたばかりの太陽の周りをぐるぐる回りながら取り囲んでいた塵とガスの円盤(原始惑星系円盤)の中から生まれたとされる。太陽以外の恒星でもそれは同様だ。円盤は惑星を作り出したあと、恒星の成長とともにやがて消失していく。
生まれてから約1000万年のTW星は恒星としてはまだまだ若いが、従来の理論では、新たに惑星を生み出すには遅すぎる年齢とみられていた。だが欧州の赤外線天文衛星「ハーシェル」の観測により、木星50個分に相当する惑星の材料が残っていることが判明した。
今回の観測では、円盤の質量を従来より正確に測ることができるようになっている。従来の方法ではガスに混じったわずかな塵を見ていたが、ハーシェルは遠赤外線で重水素を検出し、惑星の材料となる水素分子のガスを直接見ることができたのだ。
TW星の円盤が実際に大規模な惑星系に成長していくかどうかはまだわからないが、今後どのようなシナリオをたどりうるか、その可能性を探ることはできる。また、ひじょうに多様な惑星系がつぎつぎと見つかる中、形成途上の惑星系の質量を調べることは、太陽系がなぜ今あるような姿になったのかを知るヒントとなるという。