古い星たちの新種の星団
【2013年8月2日 W.M.Keck Observatory】
豪大学の研究者らにより、古い星がひしめく星団のうち、これまで存在すると考えられていなかった明るさやサイズのものが多数見つかった。この星団の多様性を説明できるモデルは今のところなく、シミュレーション研究における新たな課題となっている。
年老いた星の集まりには、よく知られている「球状星団」のほか、暗い星が大きな範囲に集まったもの、同様に大きくかつ明るいもの、といった星団が観測されており、それぞれ明るさと大きさによる星団の種類を示すものと認識されてきた。
ハッブル宇宙望遠鏡(HST)とケック天文台の観測から、これまでのどのカテゴリーにもあてはまらない大きさと明るさの星団が発見された。従来は、ある一定の大きさと明るさの範囲(「禁じられたゾーン」)には星団は見つかっていなかったのだが、この範囲にも天体が存在することが示されたものだ。
「年老いた星が密集している球状星団のような天体は、アマチュア天文家にもよく知られています。球状星団が初めて発見されたのは1665年のことですが、星団のそれぞれの規模すべてを完全に把握するまでに340年以上かかったことになるわけです」(豪スウィンバーン工科大学のDuncan Forbes教授)。
HSTで星団の大きさを、ケックII望遠鏡で天体までの距離を測定したところ、星団の大きさと質量(距離と明るさから推定)にはまとまりがあるわけではなく、どの規模のものも存在することがわかった。
また星団の色については、比較的軽いものは赤く、重いものは青いことがわかり、これは組成の違いを示唆していると考えられる。
「今回発見した星団の規模の多様性を再現できる理論モデルは、今のところ存在しません。コンピュータ・シミュレーションで星団形成の再現を試みる研究者にとって、新たな課題をつきつける成果です」(Forbes教授)。