高速で移動する星のバウショック
【2014年2月25日 NASA】
赤外線天文衛星「スピッツァー」が、天の川銀河の中を猛スピードで駆け抜ける恒星とその衝撃波で作られる構造「バウショック」をとらえた。
高温の超巨星カシオペヤ座κ星(HD 2905。以下κ星)は、宇宙空間の中を秒速1100km数十kmというすさまじいスピードで動いている。それを示すのが、画像に赤く見える「バウショック」と呼ばれるアーチ状の構造だ。バウショックはいわばボートの前方にできる波のようなもので、恒星風が星間のガスやダスト(塵)にぶつかってできる衝撃波である。とりわけ高速で大質量の星になると、そのバウショックは観測可能なほどの赤外線を発する。
このバウショックの観測から、星の周囲の環境について知ることができる。たとえば、画像の中のバウショックを横切るささくれのような細く赤い線。これは銀河の磁力線に沿っていると考えられている。周囲のガスやダストとの相互作用でできる構造が、直接は見ることができない磁場のようすを示してくれるのだ。
κ星のバウショックは星の前方に4光年も離れている。これは太陽からもっとも近い恒星プロキシマ・ケンタウリまでの距離と同じくらいで、そのスピードが周囲に与える衝撃がいかに大きいかがわかる。
※当初の記事タイトルは「秒速1100kmで移動する〜」でしたが、リリース元の記事内容が修正されたことを受け、タイトル(ならびに本文の一部)も修正しました。