鹿児島の向井さん、うお座に矮新星を発見
【2014年8月18日 VSOLJニュース(314)】
鹿児島県の向井優さんが7月19日、うお座に12.3等の新天体を発見した。その後の観測から、や座WZ型矮新星とみられる。
VSOLJニュースより(314)
梅雨が明けたにもかかわらずぐずついた天気が続き、なかなか星空を眺めることができません。そんな日々が過ぎていくうちに、夜も遅くなると秋の星座が顔を出してくる時期となりつつあります。秋の星空というとあまり目立つ星がなく神話物語ばかりがクローズアップされがちですが、一方で明るく有名な変光星の宝庫でもあります。ミラやアルゴル、ケフェウス座δ、カシオペヤ座γなどなど、変光星に興味のある天文ファンにはもっとも親しみ深い季節といえるかもしれません。
そんな秋の星座の中に、日本人捜索家の手によって新たな矮新星が発見されました。発見したのは、鹿児島県の向井優(むかいまさる)さんです。向井さんは、7月19.738日(世界時。日本時間20日2時40分ごろ)に焦点距離105mmのレンズで撮影した画像から、うお座とくじら座の境界付近に12.3等の新天体を発見しました。6月13日に撮影された画像では、この新天体は13等より暗かったことがわかっています。また、イタリアのG. Masiさんもほぼ同時期の7月19.9945日(日本時間20日8時50分ごろ)に、12.5等の新天体としてこの天体を報告しています。正確な位置は以下のとおりです。
赤経 23時05分23.14秒 赤緯 -02度25分45.5 秒(2000.0年分点) うお座の矮新星の周辺星図
この位置はUSNOカタログにある18.7等の星と一致することから、振幅の大きい矮新星の可能性が疑われました。このようなアウトバースト振幅の大きな矮新星は、おおぐま座SU型矮新星やその中のサブグループである、や座WZ型変光星である可能性が高く、周期変動がアウトバースト中に観測されることが期待されます。その後、G. Masiさんや日本の大阪教育大学チームの方々による連続測光観測で、振幅0.05等、周期0.05458日の周期変動が検出されました。この変動は、や座WZ型矮新星に特有の早期スーパーハンプであると考えられます。
この天体の早期スーパーハンプはそれから数日間観測されましたが、その後通常のスーパーハンプが見られはじめるようになりました。それからは、ゆっくりと暗くなりつつあります。
うお座の矮新星の位置
この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。まず「ツール」メニュー→「データ更新」で新天体データを取得してから、「うお座の矮新星(2014)」を検索・表示してください。
また、新しいデータや番組をオンラインで入手できる「コンテンツ・ライブラリ」(「コンテンツ」メニューより)では、新星をわかりやすく×印で表示するための「新星(マークで表示)」ファイルも公開しています。あわせてお楽しみください。